2019年06月21日

繊細なニュアンスと開放感、ブラームス最晩年のしみじみとして深みのある音楽を味わえるクラリネット・ソナタ集


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若いブラームスのロマン溢れる室内楽も胸が熱くなるが晩年のブラームスは格別である。

ベートーヴェンの影から完全に解き放たれ、吹っ切れた爽やかな境地で思うままに作曲している。

アルフレート・プリンツの控えめな表情でありながら流れるように良く歌う演奏は誠に素晴らしい。

プリンツはクラリネット独特の柔らかい魅力のある音色を生かしながら、この2曲をゆとりを持って演奏している。

曲想により音色が時に明るく、時に影を見せながら変化していくが、実に柔らかく絶妙の味わいである。

渋い表情が美しく、晩年のブラームスの淋しい心境を暗示するようだが、同時に激しさもあり、なかでも2曲の緩徐楽章が溺れることなくよく歌っていて見事だ。

変ホ長調の第3楽章も切々たる味わいがあり、変奏の進め方には知的なものが感じられる。

ブラームスの特徴である多声部の重厚な音楽造りはなく、一見簡素かつ軽妙でありながら深みがあり、2曲とも力みかえったところのない好感の持てる演奏だ。

そこで、このプリンツとカール・ライスターの3度目の録音を聴き比べてみた。

この2人のクラリネット奏者はそれぞれウィーン・フィルとベルリン・フィルの首席奏者を長い年月に亘って務め上げただけに、奇しくも彼らの演奏自体がこのふたつのオーケストラの性格を象徴しているのが興味深い。

ライスターの演奏は手堅い質実剛健なもので正確無比、一方プリンツのそれは繊細なニュアンスと開放感に満ち、どこまでも優雅さを崩さない。

ブラームス晩年の透徹した寂寥感の表出や厳格さではライスターが、また心情の機微に触れるようなメランコリックな表現や幽玄とも言える佇まいにおいてはプリンツが優っている。

音色について言えば、勿論両者の奏法の相違だけでなく、彼らの使っている楽器のメーカーが異なっていることは想像に難くないが、その点については筆者自身殆んど知識がないので言及できない。

ライスターの音色はやや暗く、くっきりとした輪郭を持っているのに対してプリンツのそれはより明るくてオープンだ。

ピアノ・パートはブルガリア出身のピアニスト、マリア・プリンツが受け持っているが、ソロを充分に歌わせるだけでなくブラームスの重厚でピアニスティックな書法も良く再現していて好演。

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classicalmusic at 18:56コメント(0)ブラームス  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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