2019年09月18日

借り物でないオリジナリティー、心に響くコチシュのバルトーク:ピアノ・ワーク全集


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これまでにゾルタン・コチシュが録音したCD8枚分のバルトークのピアノ・ワーク全集で、既にハンガリー・フンガロトンから分売されていたものが今回デッカによってコレクターズ・エディションの廉価盤ボックス・セットとしてリリースされた。

第1集が1991年、第2集が93年、第3集94年、第4集96年……というようにほぼ20年の歳月をかけて、歯がゆいほどゆっくりとして進められてきたが、それでも知性派の彼らしい仕事と言うべきだろう。

ハンガリー生まれだけに、民族的なリズムや旋律の処理のうまさは格別であるが、同時にコチシュは、ことさら民族色といったものに寄り掛かることなく、あくまで知と情のバランスの良い演奏によって、1曲1曲を生彩に富んだ表現によって的確に描き分けている。

多くの人がコチシュのバイタリティーに溢れるダイナミズムを賞賛するが、緩徐的な部分での彼の表現には心の内面に響いてくる神秘的な歌心がある。

確かに『アレグロ・バルバロ』や『3つの練習曲』、あるいは『ソナタ』で聴かせる大地から湧き上がるような原初的なパワーを秘めた奏法は圧倒的だ。

一方『ソナチネ』では郷土の土の薫りが盛り込まれているし、『3つのチーク地方の民謡』では大自然の永遠性を密やかなメロディーに託している。

それがバルトークの音楽の源泉でもある民族的な舞踏のリズムやメロディーを実際に肌身に感じて育った、コチシュならではの借り物でないオリジナリティーだ。

勿論ハンガリー人であることはバルトークの演奏においてはひとつの有利な条件に過ぎないだろう。

むしろ彼が卓越しているのは、そうした条件を凌駕して洗練された恒久的な音楽に昇華する能力と、それを実現する高度なテクニックを持っていることだ。

厳しく琢磨されるとともに、硬軟巧みに精妙なニュアンスを湛えた演奏は、いかにも味わい深く、1作1作が、40代に入ったコチシュの健やかな成熟ぶりを端的に示している。

CD2枚分を占めている『ミクロコスモス』は、ピアノを習得する子供達にとってまたと無い手本になるに違いない。

コンプリート・ピアノ・ソロ全集なので当然バルトークのピアノ作品が網羅されていて、音質は極めて良好。

尚ライナー・ノートには曲目リストと録音データの他に英、仏、独語の簡単な解説が付いている。

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classicalmusic at 12:25コメント(0)バルトーク  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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