2019年07月02日
第8回ショパン・コンクールの覇者、ギャリック・オールソンのウェーバー:ピアノ・ソナタ全集
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第8回ショパン・コンクールの覇者、ギャリック・オールソンが1987年から88年にかけて米アラベスクに録音した、ウェーバーの4曲のピアノ・ソナタを中心としたアルバムが今回ハイペリオンのライセンス・リイシューによって2枚組のCDで復活した。
コンクール優勝後は各国でコンサートを開き、EMIと契約してレコーディングでも活躍していたが、その後はメジャー・レーベルでの録音に恵まれず、日本での知名度がいまひとつなのは残念なところだ。
オールソンの演奏は、ショパンのほか、ベートーヴェンやウェーバー、ブラームス、リスト、ラフマニノフ、チャイコフスキー、スクリャービン、ショスタコーヴィチ、ウェーベルンなどを録音で聴ける。
それらに一貫するのは高度な技巧と美しい音色で仕上げられた立派な演奏であるということで、作品表現に求められる諸要素を十分に満たす実力の高さが窺える。
本盤は、オールソンの明快なピアニズムが作曲家のロマンティックだが古典的な起承転結をわきまえた、巧みな作曲法を良く捉えた秀演だ。
彼はショパン弾きだけあって、高度な技術と完成度の高い表現力を駆使しつつ、リリカルなドラマ性の表現に優れている。
録音されることが少ないレパートリーだが、ベートーヴェンとシューベルトの間を繋ぐピアノ・ソナタのサンプルとしても興味深い。
録音状態も極めて良好で、オールソンの潤いのある美しい音色を良く再現している。
カール・マリア・フォン・ウェーバーは『魔弾の射手』に代表されるドイツ・ロマン派オペラのパイオニアだが、その短い生涯に交響曲、協奏曲や多くのピアノ作品も遺している。
ここに収録されている作品はピアノ・ソナタとは名付けられてはいるものの、ひとつのテーマを創意工夫して展開するのではない。
むしろオペラの序曲や間奏曲、あるいはアリアや重唱の類いをソナタの様式に則ってピアニスティックにまとめ上げた一種のパラフレーズで、その意味ではフランツ・リストの先駆者とも言える。
それほど深刻な音楽ではないが、情景描写的なメロディーと、対照的な疾駆するパッセージを効果的に組み合わせた即興的な手法に優れ、オペラ作曲家としての面目躍如たるものがある。
尚このセットではソナタの他に華麗な3つのピース、『舞踏への勧誘』変ニ長調、『モメント・カプリッチォーソ』そして『ロンド・ブリッランテ』が収められている。
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