2020年02月09日
リスト生誕200周年記念としてリリースされたパーフェクトなホロヴィッツ・ショウ
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リスト生誕200周年記念としてリリースされたセット物のひとつで、カーネギー・ホールのライヴも含めてホロヴィッツの遺した録音からリストの作品のみを拾い上げて4枚のCDにまとめられている。
録音年代は多岐にわたるが、CD4枚はそれぞれ、1)初期スタジオ録音、2)カーネギー・ホールでのモノラル・ライヴ 3)CBSスタジオ録音およびヒストリック・リターン以後のライヴ 4)後期録音と明確にグルーピングされており、ほぼクロノロジカルにその演奏の変遷をたどっていくことが出来る。
初出音源は無いが、『ソナタロ短調』と『ハンガリー狂詩曲第6番変ニ長調』は2種類、『忘れられたワルツ第1番』は4種類収録されている。
彼の演奏は他のピアニストと比較するのが殆んど無意味と思われるほど個性的で、それぞれの曲自体がパーフェクトなホロヴィッツ・ショウのレパートリーとして磨き上げられている。
結果的に彼にとって、こうした作品は自分のコンサートに奉仕させるエレメントという印象すら与える。
尚3枚目の後半からは歴史的セッションで、1930年から51年にかけてのモノラル録音ながら若き日の彼の妙技を堪能することができる。
彼は恐るべきヴィルトゥオーソであるばかりでなく、ピアノの音響が聴衆に与える効果も熟知していて、驚異的に広いダイナミクスを駆使した独自の奏法で、リストの音楽の華麗さからデモーニッシュなおぞましさまでを最大限引き出している。
彼はいかなる曲においても敢然と自分の領域に持ち込んで研ぎ澄まし、有無を言わせない説得力で聴き手に迫ってくる。
実際このセットに取り上げられた数曲は、ホロヴィッツ自身が少なからず手を入れた編曲になる。
しかし他の作曲家の作品はともかくとして、リストのピアノ曲に関しては、それが作曲者によって書きとめられたものであるにせよ、即興性が大いに活かされていることも事実だろう。
そうした意味ではホロヴィッツのアレンジも非常に気の利いた趣向であるには違いない。
解説は英、独、仏語でジャケットとライナー・ノーツが完全に綴じ込まれたブック仕様のため、CDが取り出しづらい装丁だが、廉価盤としての価値は高い。
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