2021年11月27日
古楽界の大御所、トラヴェルソの名手、バルトールド・クイケンによるバッハの息子達のフルート・ソナタ集
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古楽界の大御所でありトラヴェルソの名手、バルトールド・クイケンにはバッハ・ファミリーの作曲した総てのフルート・ソロの加わる室内楽の録音をカバーしたいという願望がある。
これまで既に大バッハと次男C.Ph.エマヌエルのソナタ全曲集は文字通り完成させた。
その補遺に当たるのがこのCDで、ここにはW.フリーデマンのホ短調及びヘ長調のソナタ、J.クリスティアンのニ長調、J.クリストフ・フリードリッヒのニ短調のそれぞれのソナタに加えてJ.クリスティアン伝のヘ長調のソナタと作者不詳のヘ短調ソナタの計6曲が収録されている。
ただ末っ子のJ.クリスティアンには2楽章形式のソナタ6曲の他にフルートが加わるアンサンブル用の曲が少なからず存在するので、決してこのCDで完結したわけではない。
この曲集ではいわゆる通奏低音付のソナタでもクイケンは、習慣的に加わるガンバやチェロ、あるいはリュートなどを一切省きデメイエールの弾くチェンバロのみを従えている。
このために演奏スタイルがより親密かつ軽妙になり、ソロ・パートを引き立てる結果になっている。
但し、こうした比較的マイナーな曲集では彼の名人芸はともかくとしていくらか単調になってしまう嫌いが無きにしも非ずといったところだ。
例えば伴奏にチェンバロとフォルテピアノを交替させるなどの配慮があれば、より興味深く変化に富んだ演奏になっただろう。
しかし一方で余計な通奏低音を省いて総ての音符を書き記し、即興の余地を制限したソロ・ソナタの様式を試みたのは他ならぬ大バッハ自身であり、それがその後の古典様式のソナタに受け継がれていくことを考えれば、妥当な選択なのかも知れない。
使用楽器はクイケンがアウグスト・グレンザーのワン・キー・モデル、デメイエールのチェンバロがアンリ・エムシュのコピーになる。
ピッチはa'=415Hzのスタンダード・バロック・ピッチ。
2008年録音の音質は鮮明で極めて良好。
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