2019年09月20日

バロック組曲としての秩序と構成感、自由闊達かつ泰然自若の至芸、シュタルケル最後の無伴奏


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ハンガリー出身の名チェリスト、ヤーノシュ・シュタルケル(1924-2013)はバッハの無伴奏組曲の録音を4回行っている。

この2枚のCDに収録されているのは1992年、彼が68歳の時のデジタル録音を24bitリマスターしたもので、最後の全曲集になった。

またそれとは別に1950年代初期のSP盤にも既に4曲を入れていたので、彼がこの無伴奏をいかに生涯の課題にしていたか想像に難くない。

つまり一生の間、バッハ無伴奏を極めるべく研鑽に励んだ修道者のようなチェリストであり、その成果が本盤である。

しかも演奏は実にかくしゃくとして揺るぎなく、難技巧の部分も楽に弾き切るテクニックもさることながら、自由闊達かつ泰然自若の趣には真似のできない至芸が感じられる。

さすがに完璧な技術、力強さ、癖のない自然な演奏であり深い味わいがあって、バッハが直接語りかけてくる趣と言うべきであろうか。

シュタルケルは古楽奏者ではないが、バロック音楽に造詣が深く、それが舞曲の生き生きとした解釈や装飾音の扱いに良く現れている。

また彼はバッハを決して恣意的に捉えず、むしろ私的なイデオロギーを表現手段に持ち込むことを嫌って、常にシンプルで様式に則った音楽の再現を試みているように思う。

それゆえに非常にすっきりとした曲の輪郭が聴き取れ、何よりもバロック組曲としての秩序と構成感が活かされているのが特徴的だ。

奇を衒った個性的な演奏ではないが、筋の通った骨太な演奏は誰にでも受け入れられる包容力を持っている。

録音状態と音質は極めて良好。

特にチェロ特有の張りのある中高音や伸びやかな低音が鮮明に再現されているし、耳障りにならない適度な残響に好感が持てる。

内部が折りたたみ式のプラスティック・ジュエル・ケースに2枚のCDが収納されているが、節約仕様の廉価盤のため、残念ながらライナー・ノーツは省略されている。

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classicalmusic at 12:07コメント(0)バッハ | シュタルケル 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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