2019年08月30日
B・クイケン、寺神戸亮らによる自由闊達なドゥヴィエンヌのフルート四重奏曲
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フランソワ・ドヴィエンヌはフランス革命の動乱期に活躍したフルーティスト兼作曲家でパリ音楽院の初代フルート教授を1793年から勤め、フルート教則本「フルート演奏の理論と実践」を出版するなどフルートを学ぶものにとっては重要な音楽家である。
このディスクには現在円熟期にあるバルトルド・クイケンと弦楽トリオによる4曲のフルート四重奏曲が収められている。
ヴァイオリンが寺神戸亮、ヴィオラがサーラ・クイケン、そしてチェロがヴィーラント・クイケンという家庭的なカルテットだが、寺神戸亮はこのところ古楽界でひときわ充実した演奏活動をしていて、ここでも脂の乗り切った素晴らしいリーダーシップをとっている。
全体的に良く練れた演奏で、しかも彼らの表現は自由闊達な雰囲気に溢れたアンサンブルの喜びを感じさせてくれる。
特に最後に置かれた作品66の1イ短調の終曲プレストでは、その典型的な諧謔性とトラヴェルソのヴィルトゥオジティが織り成す鮮やかなチーム・ワークが聴き所だ。
前述のように、ドゥヴィエンヌはモーツァルトと同時代のフランスの作曲家で、自らファゴットとトラヴェルソの奏者としてこれらの独奏楽器を取り入れた室内楽や協奏曲で名を馳せた。
また1790年には当時のフランス革命の世相を反映したオペラ『ル・マリアージュ グランデスタン」は大好評を得るなど一躍時代の寵児たなった。
しかし時代の激流に翻弄されまた仕事が多忙を極めるなど繊細な神経の持ち主であったドゥヴィエンヌは精神を病みパリ郊外の精神病院に入院そこで死を迎えることとなった。
曲種は典雅で軽快なロココ趣味を反映しているが、楽器の機能を知り尽くした巧みなソロの扱いや優美な音楽性が一体となった魅力的な作品を数多く残している。
ギャラントな作風でも楽器の特色をよく捉えていて、いかに当時の表現能力に限界がある楽器から魅力的な演奏が出来るように考えられている。
尚録音は2003年でそれぞれがピリオド楽器を使用しているが、因みにトラヴェルソはルドルフ・トゥッツ製作のアウグスト・グレンザー・ワンキー・モデルでピッチはa=429に調律されている。
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