2019年06月26日

神に捧げられた声、バルトリのカストラート歌手達へのオマージュ


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芸術至上主義が咲かせたあだ花とでも言うべきカストラート歌手の為の作品を集めたアルバム。

このCD+DVDデラックスエディションには名声を極めスペイン国王の寵児となった歌手ファリネッリの兄リッカルド・ブロスキや、ヘンデルそしてジャコメッリといった作曲家達のオペラからアリア3曲が加えられている。

更にライナー・ノートには英、仏、独語によるリブレットの他にカストラート・レキシコンが設けられ、多くの貴重な図版と共に代表的な歌手達の略歴や当時の作曲家が残したカストラートの為の作品が列挙され、彼らの歴史が簡潔に理解できるようになっている。

チェチリア・バルトリの得意とするアジリタの技巧が冴え渡った、往時のカストラート歌手の目眩くような歌唱をイメージさせる超絶的なコロラトゥーラと、感情の起伏を自在に表出させるリリカルなカンタービレが最大の聴き所だ。

それを支えるジョヴァンニ・アントニーニ率いるイル・ジャルディーノ・アルモニコの伴奏がいやがうえにもエキサイティングでスリリングな雰囲気を盛り上げている。

DVDにはCD、SACRIFICIUMの映像版だが選曲ではCDと同様の録音が9曲、それにポルポラのシンフォニアを新たに加えている。

撮影はナポリ近郊にあるカセルタの王宮付属の劇場で行われた。

特に凝った演出ではないが、舞台の奥にカメラを設置してバルトリを客席に背を向けて歌わせることによって、背後に馬蹄形の豪華な客席が映し出されているのが特徴だ。

更に興味深いのは、このDVDのボーナス編に収録されている彼女自身の語るカストラート歌手についての歴史的エピソードだ。

1700年代のイタリアでは最盛期には年間4000人もの変声期前の少年たちが去勢された。

それは息子を歌手に成長させて一攫千金を夢見た貧しい両親や、音楽院の指導者達によって音楽芸術への奉仕という大義名分の下に実行された一種の生贄だったと言える。

手術後彼らは直ちに総合的な音楽教育を受け、声楽のみならず器楽の奏法や作曲も学んだ。

しかしカストラート歌手としての栄光を手にしたのは彼らの世紀を通じても100人程度だという。

尚バルトリ自身は英語で話しているが、字幕スーパーは仏、独、伊、西語が用意されている。

ボーナス編ではまたこの王宮の見どころが堪能できるのも魅力だ。

カセルタの王宮は当時のナポリ王であったスペイン・ブルボン家のカルロス3世の要請で1752年に着工された内部1200室と更に120ヘクタールの壮大な庭園を持つ、ヨーロッパではパリのベルサイユ宮殿に続く大宮殿で、現在ユネスコの世界遺産としても登録されている。

この王宮内にある劇場は比較的小規模ながら、その内部装飾の豪華絢爛さはまさにロイヤル・シアターの名に相応しいものだ。

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classicalmusic at 02:34コメント(0)バルトリ  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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