2019年12月16日

アンチ・カラヤンにも抗し難い“魔性”の誘い、デモーニッシュな吸引力が全篇を覆う《モツレク》


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カラヤンはモーツァルトの《レクイエム》を計3回録音しており、これはその第1回録音(1961年)。

ベルリン・フィル、ウィーン楽友協会合唱団、ソリストはヴィルマ・リップ(ソプラノ)、ヒルデ・レッスル=マイダン(アルト)、アントン・デルモータ(テノール)、ヴァルター・ベリー(バス)という布陣になる。

カラヤンは周知のようにザルツブルク生まれであるだけに、若い頃からモーツァルトの演奏を得意としていた。

しかしながら彼のモーツァルト演奏は、どの曲ももってまわったような表現で、スカッとした味がなく、交響曲でもディヴェルティメントでも、大体傾向は同じになってしまう。

しかし、この《レクイエム》は別格で、カラヤン特有の巧みな演出が結晶した名演と言える。

全体にもたついたところがなく、この曲の持つ深い哀愁を、きめこまやかに表出している。

3回の録音のどれにもアンチ・カラヤンに属する聴き手にも抗し難いような、他の指揮者にはみられない“魔性”の誘いがある。

《レクイエム》でありながら、そこに内在するエネルギーの噴出力はまぶしいほどで、カラヤン独特のデモーニッシュな吸引力が全篇を覆う。

この最初の録音は、各楽章の性格を深く対照的に抉り、速い部分と遅めの部分の落差をつけており、オケの重厚な響きが圧倒的だ。

聴かせどころのツボをこれ以上ない程に巧妙に捉えたカラヤンのアプローチは、わざとらしさや表現の大げささを感じさせることも否めないが、この名作のドラマティックな悲劇性をたまらなく鮮やかに描出している。

つまりカラヤンらしさが最も前面に押し出された名演でありながら、それでも聴き手を魅了し尽くしてしまう魅力を放っている。

特に〈ラクリモサ(涙の日よ)〉は見事な演奏で、これを聴いていると自然に涙がわいてくる。

前述のようにカラヤンは他にもこの作品の録音を残しているが、ここに聴かれる輝かしくも集中力の高い表現は、とても他の録音のおよぶところではない。

ここでは声楽陣がすべてウィーン勢のせいか、アンサンブルもお互いの信頼の上に成り立つメンタルな緻密さが感じられ、3回の録音の中でも一番安定していて、合唱、独唱も好演である。

オリジナル楽器によるスリムなモーツァルトの対極にある《レクイエム》である。

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classicalmusic at 00:00コメント(0)モーツァルト | カラヤン 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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