2020年05月02日

自ら育成したオーケストラとモーツァルトに賭けるアバド晩年の情熱、交響曲第39番、第40番


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このディスクには前回の2枚組のセットでは取り上げていなかった交響曲第39番変ホ長調及び第40番ト短調が収録された。

2曲の演奏に共通して言えることはテンポを落とさず、クレッシェンド、ディミヌェンド、アクセント等を律儀に感知させることによって楽想を明瞭にして、より率直なモーツァルトの音楽を再現していることだ。

またここではアバドが以前得意としていたリリカルなカンタービレはやや抑えられて、ピリオド奏法を活かした軽快さがキー・ポイントになっている。

オーケストラは勿論モダン楽器使用の少人数の典型的な古典編成だが、少数精鋭のメンバーによって作り出される音楽は無理のない伸びやかさがあり、メリハリを効かせた迫力にも不足していない。

アバドはモダン楽器にピリオド奏法を取り入れた、いわば折衷様式の新しいモーツァルトの解釈を試みていて、晩年の彼の音楽観や心境の変化を知る上でも興味深い。

特に第40番ではデモーニッシュな曲想はむしろ避け、明るく鮮烈な息吹きで表現している。

それは陰影に富んだ表現ではないし、深みという点でも歴史的なオーケストラに一歩譲るとしても、生き生きとした推進力と明快さは彼らのような経験の浅いオーケストラでこそ可能な若々しさに溢れている。

2008年6月及び翌2009年6月のどちらもライヴで、彼らの本拠地ボローニャでの録音になる。

最近のライヴ録音では聴衆の雑音を全く入れないことが可能な為に、拍手の部分がカットされるとセッションと全く区別がつかない。

しかもこのシリーズでは、さながらオーケストラと同じステージ上で聴いているような臨場感が得られている。

モーツァルト管弦楽団について言うならば、コンサート・マスター、カルミニョーラによって指導されたピリオド奏法とアンサンブルの確実さや、その音色の瑞々しさが魅力だ。

また指揮者アバドのきめ細かい指示が几帳面に反映されているのが特徴で、聴けば聴くほど味が出てくる。

アバドの没後、このオーケストラが特定の機会や録音目的の為だけでなく、定期演奏会を重ねていくことによって、将来彼らがどのように楽団を発展させていくか期待される。

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classicalmusic at 14:45コメント(0)モーツァルト | アバド 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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