2022年06月16日

パールマンの秀でた音楽性、柔軟な姿勢、優しさが込められたクライスラー珠玉の小品集


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甘美な音色と抜群のテクニックを看板にして楽壇に登場したイツァーク・パールマンの溌剌とした情感があふれ出たような演奏だ。

パールマンはクライスラーの作品を得意としていたが、ちょっと合わないように思う人もいるかもしれない。

実は彼の演奏するクライスラーの音楽は、ウィーンの演奏家に劣らないほどウィーン風の美しさを持っている。

それはひとつには、パールマンがどんな曲を弾いても常に自分自身で楽しんで演奏する、そうした彼の本質によるものだ。

アーティキュレーションが格別に見事な、そして自らの表現力とテクニックを誇示すると言っても過言ではないその演奏は、それぞれの曲をいわば白日の下に置く。

あまりにも光の部分が表に出過ぎているが、このヴァイオリンの名手クライスラーの音楽に新しい光を当てる、颯爽とした見事な演奏であることは確かなことだ。

それに加えてこのクライスラーの音楽では、嫌味のない自然なポルタメントを用いてウィーン独特の雰囲気を醸し出していることにもよる。

例えば、ドヴォルザークの《スラヴ舞曲》の編曲では、多用される二重音の表現にノスタルジアさえも感じられ、ドヴォルザークよりもウィーンのクライスラーを強く感じさせる。

また《美しきロスマリン》や《愛の悲しみ》などの、微妙なテンポの揺れやワルツのリズムの取り方にも独特のものがある。

こうした際物的なピースの演奏においてパールマンの柔軟な姿勢がこれほど好ましい印象を残した例も少ない。

彼の演奏表現には聴衆に対する良い意味での媚があり、それは時として官能的でもあるし、忘れ去られた過去への追憶を蘇らせることもある。

また彼には聴く者の心を積極的に捉えようとする庶民的な気さくさがある。

そしてその為にはあらゆるテクニックを駆使するが、決して度を過ごした品のない表現に陥らないのは彼の秀でた音楽性の賜物だろう。

自己の芸術的な理想は高邁なものであっても時には聴衆と一緒に歩んで行く、そんな彼の優しさがここに収められた19曲に集約されている。

それぞれの曲に思いが込められ個性が与えられて理屈抜きに楽しませてくれるアルバムだ。

ソロをサポートするサミュエル・サンダースのピアノもうまさも注目され、音楽的センスの光る名伴奏で、まさに珠玉の小品集の名に相応しい仕上がりになっている。

1975年から78年にかけての録音が今回新たにリマスタリングされ音質もきわめて良好だ。

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classicalmusic at 07:51コメント(0)クライスラー | パールマン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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