2019年10月23日
アンサンブル・ノットゥルナによるヤーニチュの四重奏曲最終巻
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ヨハン・ゴットリープ・ヤーニチュの木管楽器をソロに取り入れた四重奏曲15曲を3枚のCDに分けてリリースした最終巻に当たる。
クリストファー・パラメータ率いるアンサンブル・ノットゥルナのごく中庸を心得た演奏が、ピリオド楽器の奥ゆかしい響きと相俟ってひときわ美しい演奏集に仕上がっている。
このディスクでは室内ソナタ5曲を収録しているが、中でも2曲目のオーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラと通奏低音のためのソナタ変ロ長調は世界初録音になり、ヤーニチュの得意とした流麗な書法と当時をイメージさせるインティメイトな音響が注目される。
音色的にも弦楽器と相性の良いバロック・オーボエやトラヴェルソを取り入れたこれらのカルテットが、単なる宮廷での娯楽作品から次第に高度な作曲技法によって高尚な室内楽に練り上げられていく過程も興味深い。
また最後に収められた『エコー』は他のピリオド・アンサンブルの演奏でも聴くことができる名曲だが、彼らは新奇な試みを避けて古典的かつ堅実なアプローチでこの曲の牧歌的なのどかさを満喫させてくれる。
ライナー・ノーツの最後にメンバー全員の使用楽器が明示されている。
オーボエはアイヒェントプフ・モデル、2本のトラヴェルソはいずれもI.H.ロッテンブルグ・モデルで、それらはまさにヤーニチュがフリードリヒ大王の宮廷を中心に音楽活動を行っていた時代に製作されたもののコピーになる。
こうした楽器の選択からもオリジナルな響きに対する彼らのこだわりが感じられる。
録音は2009年2月にケベック州ミラベルのサン・トギュスト教会で行われ、それぞれの古楽器の音色を鮮明に捉えた音質が素晴らしい。
因みにアンサンブルのリーダーでこの3枚のディスクのセッションでは指揮も務めた、モントリオール出身の若手バロック・オーボエ奏者、クリストファー・パラメータは、2015年になってマレン・マレのオーボエ組曲集をリリースしている。
カナダでは古楽の研究や演奏が意外にも盛んで、このヤーニチュの四重奏曲集を企画したアトマ・レーベルは知られざる名曲の発掘はもとより、自国のアーティストを起用した質の高い演奏と録音で充実したアルバムを発表している。
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