2019年08月26日
メランコリックな情緒、イル・ガルデッリーノによるヤーニチュの四重奏曲
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フリードリヒ大王統治下のプロイセンの宮廷にはベルリナー・シューレと呼ばれた当時を代表する第一級の音楽家達が集まっていた。
このディスクではあえてエマヌエル・バッハやクヴァンツを除いて、現在では殆んど忘れ去られてしまった3人の作曲家の作品を取り上げている。
フリードリヒが1740年にプロイセン王に即位した時、彼のもとには既にヴァイオリニストのJ.G.グラウン、チェンバリストのCh.シャフラート、コントラバス奏者のJ.G.ヤーニチュなど17人のオーケストラのメンバーが揃っていた。
彼らはそれぞれが作曲家や教師としても宮廷外での活動を許されていたようで、ベルリンがにわかに音楽都市として開花することになった。
中でもヤーニチュの室内楽は対位法の巧みさと響きの美しさで群を抜いているが、特にト短調の『クァドロ』の第3楽章ではコラール『主のこうべは血潮にまみれ』を使って特有のメランコリックな情緒を織り込んでいる。
古楽の本家ネーデルランドの伝統的な奏法を学んだアンサンブル、イル・ガルデッリーノの名称はヴィヴァルディの協奏曲『ごしきひわ』から取られたもので、バロック・オーボエ奏者のマルセル・ポンセールとトラヴェルソ奏者のヤン・デ・ヴィンネによってブリュージュで結成された。
上記以外のメンバーも多くソリストとして活躍していて、例えばバロック・ヴァイオリンの寺神戸亮は単独でも数多くのコンサートや録音活動を行っている古楽界の実力派のひとりだ。
彼らの演奏の特徴は知的な魅力を持っていることで、過激な演奏で注意を引くのではなく作曲家の個性を学理的に捉えた整然として荘重な古楽の味わいを満喫させてくれるアンサンブルだ。
使用楽器はポンセールがステンスビー・モデル、デ・ヴィンネがパランカ・モデル、そして寺神戸が1690年製のオリジナル、G.グランチーノでピッチはいわゆるスタンダード・バロック・ピッチのa'=415。
アクサン・レーベルは古楽器製作者アンドレアス・グラットによって設立された古楽専門のプライベート・レーベルとして出発したが、既にこれまでに膨大な量の録音をリリースしている。
このセッションは2000年に行われたが、この頃から音質的にも格段に向上していて、作品が作られた当時のアンサンブルの響きを髣髴とさせてくれる。
CDにはライナー・ノーツが内側のポケットに差し込まれている紙製のパッケージだが装丁は悪くない。
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