2019年12月08日

協奏曲が協奏曲を超えてオペラになったようなレーピンとゲルギエフの感銘深い熱演


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ロシアのヴァイオリン協奏曲2曲を、同国の若い世代を代表するヴァイオリニストであるワディム・レーピンが独奏を務めた、彼が指揮者ワレリー・ゲルギエフと初めて共演した演奏会(2002年7月)でのライヴ録音盤。

名ヴァイオリン奏者たる者、誰もが採り上げるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は残された名盤も数多いが、ロシアの若手世代のリーダー格、レーピン(1971年生まれ)はゲルギエフ率いるマリインスキー劇場管弦楽団という理想的なバックアップを得て名演を作り上げた。

演奏は終始、豊かな霊感に満ち、旋律的にも歌う楽器ヴァイオリンの魅力が余すところなく引き出されている。

ロシア的憂いと力強さの絶妙なバランスも見事で、どこをとっても均整のとれた味わいがある。

完璧なテクニックと妖しいまでに魅力的なカンタービレを持つ名手だが、レーピンはそうしたものは作品の本質とは関係がないとばかりに感触はちょっと冷たくすらある演奏を披露している。

だが、レーピンの演奏は実はそこから出発しているのであって、協奏曲全体を俯瞰しながら作品の核心へと突き進んでドラマティックこの上ない演奏の世界を打ち立てている。

ゲルギエフの指揮も遠慮などしておらず、協奏曲はソリストが主役なのだからオーケストラは抑えてという配慮もない。

演奏はもう冒頭からゲルギエフの世界で、とにかく凄まじいエネルギー、そして隈取りの深い表情、単純な伴奏句を奏しているだけでも前へ前へと押し出してくる。

そんな異様に力強いバックに対し、レーピンもパワーで真っ向から勝負、クリヴィヌと共演したスタジオ盤での洗練された表現とは別人のような思い切った演奏ぶりには、この怪童ヴァイオリニストのとんでもない馬力を実感させられる。

第1、3楽章での力技の応酬、第2楽章「カンツォネッタ」の綿々たる情緒と、メーターを振り切ってしまわんばかりの圧倒的な熱演だ。

「真のヴィルトゥオーゾが相手のときは遠慮する必要などありません。オーケストラを殺す必要はないのです」とゲルギエフは語っていた。

肝心なのは協奏曲という形式ではなく、協奏曲というフォームを借りて編み出された作品そのものの価値であり、そこに潜む宝石を探り当てるというわけであろう。

ソリスト、指揮者、オーケストラが火花を散らした熱演は、協奏曲が協奏曲を超えてオペラになった、そんな感銘が与えられる。

耳慣れた作品が演奏家の尽力によりその姿を一変させることがあるが、ここに聴く協奏曲もその1つ。

同時に収録されたミヤスコフスキー(1881-1950)のテンペラメントの激しさもまた出色であり、チャイコフスキーよりさらにメランコリックな曲想がいつになく熱っぽく迫ってくる。

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classicalmusic at 11:32コメント(0)チャイコフスキー | ゲルギエフ 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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