2022年03月24日
フランス・バロックの笛の醍醐味(1)、知る人ぞ知る趣味の良さ、オトテール作品集
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音楽家及び楽器製造者として知られた一族オトテール家の1人、通称オトテール・ル・ロマンは、フラウト・トラヴェルソ奏者として名を馳せた。
その音楽は、当時の貴族趣味を反映した、知る人ぞ知る趣味の良さを誇る一級品である。
廉価盤ながらオトテールの笛のためのアンサンブルを2枚のCDに分けて収録した秀演で、これはその1枚目に当たる。
オトテールの室内楽曲のまとまった録音としてはフランス・ブリュッヘンに続く草分け的なもので、1996年のリリースだがその演奏水準の高さは現在でも最も優れたセッションのひとつと言えるだろう。
フランスのトラヴェルソ奏者で、また自身ピリオド楽器製作者としても知られるフィリップ・アラン=デュプレは、イタリアのアッシジにある聖フランチェスコ修道院の図書館に保管されている作者不詳の3ピース・タイプのトラヴェルソ(a'=392Hz)をコピーしてこの演奏に使っている。
コピーは拓殖材と黒檀の2種類が用いられていて、深みのある豊かな音量とおおらかで優雅な音色は、サンティッポーリト教会の潤沢な残響と相俟って18世紀のヴェルサイユの宮廷音楽を髣髴とさせてくれる。
一方通奏低音を担当するヤスコ・ウヤマ=ブヴァールの弾くチェンバロは1741年製のオリジナルのエムシュになる。
通奏低音には他にヴィオラ・ダ・ガンバとテオルボが加わった4人編成で、当時の演奏習慣を再現している。
この第1集では組曲の第1番ニ長調、第2番ト長調、第3番ト長調及び第4番ホ短調の4曲と2曲の2本のトラヴェルソのための小品が収録されていて、デュエットではジャン=フランソワ・ブジェが相手方を務めている。
さらにトラック22には録音されることが少ない短い作品だが、トラヴェルソ・ソロのための『エコー』が加わっている。
この小ピースは狩の情景を横笛一本でイメージさせる、言ってみれば一種のファンタジーで、フォルテとピアノの指示が交互に繰り返される森の中のエコー効果を狙ったユニークな曲だ。
続く第2集と共に古楽ファン、並びにトラヴェルソ・ファンには是非お薦めしたい1枚だ。
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