2019年07月26日
フルシャ、バンベルク響の新企画第2集、ブラームス:交響曲第3番、ドヴォルザーク:交響曲第8番
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チェコの若手指揮者ヤクブ・フルシャは2016年からバンベルク交響楽団の首席指揮者に就任して、定期コンサートだけでなく彼らとのレコーディング活動も着実に進めている。
2017年にフルシャの発案で立ち上げたチューダー・レーベルとの企画が、ブラームスとドヴォルザークの交響曲を1曲ずつ併録する2枚組のハイブリッドSACDシリーズで、第1集は両作曲家の最後の交響曲から開始された。
これは売れ筋を見込んだカップリングとも考えられるが、オーソドックスな解釈の中に彼ら独自の音楽性とテクニックを表現し得た素晴らしい仕上がりで、是非シリーズ全体を聴いてみたいという気になった。
彼らの本拠地カイルベルトザールで『新世界』を聴いた時思ったことだが、フルシャは即興性とは縁のない指揮をするし、指揮台の上でパフォーマンスするようなオーバーなジェスチャーも皆無だ。
総てがオーガナイズされていて、そこから逸脱することを許さないが、それでいて陳腐な演奏に陥らない閃きと作品の構造を丁寧に仕上げていく知性が感じられる。
第2集はブラームスの第3番及びドヴォルザークの第8番で、やはり作品番号を逆に辿っていく方法をとっている。
ドヴォルザークが2018年2月、ブラームスが同年5月のライヴ録音で音質は極めて良好。
客席からのノイズもなく、SACDのきめ細かい透明感のある音質が再生される。
フルシャはオーケストラからヴィブラートを除いてハーモニーを純正に保つ訓練をしていると思われる。
純正調の無類に力強く重厚な和音とその響きの美しさは、特にウィンド、ブラス・セクションに表れている。
ブラームス冒頭から第2楽章にちりばめられたアンサンブル、第3楽章で木管のユニゾンで繰り返されるテーマや、終楽章でのブラスが加わって静かに終わるコーダに至るまでが精緻でありながら説得力を持ったサウンドで構築され、音楽的迫力とは決して音量のダイナミズムだけではないことを証明している。
一方ドヴォルザークはフルシャのお国物だが、ここでも熱狂的なナショナリズムの噴出ではなく、あくまでもブラームスから多大な影響を受けたロマン派の作曲家の作品としての解釈がある。
スラヴ的なエレメントが剥き出しになるのではなく、何よりも交響曲の体裁がしっかり整えられ、作曲家のオーケストレーションへの創意が非常にすっきりと再現された演奏だが、終楽章のブラスの惜しみない咆哮も忘れてはいない。
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