2019年07月25日
クラシック・ギター界の新星ミロシュの現代的なセンスに溢れた『アランフエス』
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クラシック・ギター界の新星、ミロシュ・カラダグリッチが本格的なオーケストラとの合わせものを収めた1枚。
ロドリーゴの『アランフエス協奏曲』及び『ある貴紳のための幻想曲』では、彼の研ぎ澄まされた音楽性とテクニックがヤニク・ネゼ=セガン指揮するロンドン・フィルに支えられて鮮やかに冴え渡っている。
オーケストラからも指揮者のきめ細かな指示による、ロドリーゴの気の利いたオーケストレーションがいたるところで感知される。
この曲のラテン的な熱狂とは一線を画した精緻でクールな表現かも知れないが、それは決して優等生同士の醒めた演奏ではない。
あらゆるバランスが考慮された音楽的に非の打ちどころのない仕上がりになっているのが特徴だ。
聴き手に媚びることのないミロシュの爽快なヴィルトゥオーシティも充分発揮され、如何にもニュー・ジェネレーションのギタリストの登場に相応しい内容を持っている。
その他に管弦楽を伴わないマヌエル・デ・ファリャの『ドビュッシーの墓碑銘への讃歌』、バレエ音楽『三角帽子』より粉屋の踊り「ファッルーカ」、そしてロドリーゴの『祈りと舞踏』の三つの独奏曲が収録されている。
中でも「ファッルーカ」はロンドン王立音楽院時代のミロシュの師であったマイケル・レヴィンによるギター・ソロ用のアレンジで、ミロシュの澄み切った音色がアンダルシアの幻想的な印象を鮮烈に伝える演奏が白眉だ。
ライナー・ノーツの始めのミロシュ自身の言葉「このレコーディングはクラシック・ギターの歴史の流れを変えた作曲家とその作品に対する私的なオマージュ」に示されている。
当CDはホアキン・ロドリーゴとマヌエル・デ・ファリャという革新的な発想と伝統的な民族音楽との止揚を試みたスペインの2人の作曲家の5つの作品で構成されている。
特にロドリーゴはギターに斬新な管弦楽法を交えてソルやタレガによって受け継がれたお家芸のギター・スクールに新局面を切り拓いた人でもあるし。
またデ・ファリャのギターに対するそれまでの娯楽的な大衆楽器というイメージを刷新して、その芸術性に着目した作品は注目に値する。
確かに彼らの存在が将来のギター音楽のあるべき方向を示唆したと言えるだろう。
ライナー・ノーツは26ページほどで、多数のカラー写真を挿入した英、独、仏語による解説付。
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