2020年04月14日

オペラの碩学、黒田恭一著『雨夜の品定め 名作オペラのベストキャストは!? 』、単行本再発売を歓迎


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2009年5月に亡くなった音楽評論家、黒田恭一氏への追悼出版となった。

幅広いジャンルの音楽を聴き、そして書いた著者だったが、中でも最も愛着をもって接していたのがオペラの世界で、99年から3年間に亘って『レコード芸術』誌に連載されたものを再編纂した単行本だ。

尚巻末には友人の浅里公三氏が本書で紹介されているCD、DVDの一覧を付け加えている。

オペラの登場人物中35人の役柄には誰が最適かという興味深い課題をもとに、それを『源氏物語』の雨夜の品定めになぞらえて考察している。

しかしベスト・キャストに選ばれるのは勿論女性歌手ばかりではなく男性も、また時としてはカウンター・テナーにも話題が及んでいる。

黒田氏は通常ビギナーのための推薦盤としては、比較的新しい録音で手に入りやすい優良盤を挙げることを鉄則としていたようだが、本書では一時代を画した、いわゆる往年の名歌手達が続々と登場する。

その理由は、オペラ歌手は役者として、しかも如何に声で演技ができるかという高度な問題を抱えているために、それぞれの役柄を理想的に歌える歌手はそれほど多くなく、時代を広げた考察が必要になるからだろう。

それだけにここに紹介されたメディアは初心者だけでなく、オペラに精通したコレクターも満足させる内容になっている。

文章は彼らしく平易で独特のユーモアが感じられるが、登場人物の役柄への観察は鋭く、また歌手に対して要求する条件もかなり厳しい。

例えばカルメンやトスカに求められているのは歌唱技術ではなく、女優としての表現力だとしている。

いくら美声に恵まれた歌手でも、そうした条件を満たすのは並大抵ではないが、当然そこにはマリア・カラスの名前が挙がる。

一方ヴォータンの理想はハンス・ホッターで、軽く明るいバス・バリトンで歌われる最近の風潮をからかって「わからずや親父の癇癪」にしか聞こえないと皮肉っているのは痛快だ。

またドン・ジョヴァンニでは個人的な出会いを認めながらチェーザレ・シエピに軍配を上げている。

いずれにしても、どれほど優れた歌手を主役に据えても、指揮者、オーケストラ及び脇役が手薄ではオペラは盛り上がらないし、また役によってはその人物の解釈の仕方が一通りでない場合もある。

そうした事情もあって、過去に録音されたものから一曲のオペラにつきベスト・キャスト盤を一組だけ選考するのは実際困難で、本書でも複数のCDが考慮されている。

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classicalmusic at 12:39コメント(0)芸術に寄す | 筆者のこと 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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