2019年08月08日

今日のバッハ演奏の方向を示した静的な流れが基調のガーディナー『マタイ』初録音


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ガーディナーは、1985年に『ロ短調ミサ』、86年に『ヨハネ受難曲』、87年に『クリスマス・オラトリオ』を録音し、最後に『マタイ受難曲』を録音してJ・S・バッハの4大宗教作品のシリーズを完了した。

最後に『マタイ』を置いたのは作品の重みを考慮してのことだろうが、やはりリヒターによる不滅の名演を意識せざるを得なかった部分も大きいだろう。

それだけに結果が新鮮で素晴らしく優れた『マタイ』になっているのは喜ばしい。

ガーディナーの演奏スタイルは、19世紀以来のドイツでの伝統的な重厚な演奏ではない。

そのオリジナル楽器とバロック唱法で歌われる明晰明朗な『マタイ』は新鮮な驚きと新たな感動を呼ぶ。

まず合唱だが、冒頭部などでやや不安定な箇所があるなど万全でない部分があるのが残念だが、総じて水準の高い演奏を保っている。

特にコラールにおける静かに湧き出てくるリリカルな情感は素晴らしい。

ソリスト陣では、なんといってもキーになるエヴァンゲリストのロルフ・ジョンソンが幅のある表現で劇的に物語を語っていくのが印象的。

ただ、ガーディナーのスタイルは、総じて静かな流れを基調としているだけに時には浮き上がってしまう場面もある。

また、テキストの一語一語の意味をもう少し大切にして欲しい箇所もある。

その他のソロでは、メゾ・ソプラノのフォン・オッターの奥の深い表現とシュミットの若々しいイエスが良い。

また、カウンター・テナーのチャンスの歌唱力もさすがで、第39番のアリア“Erbarme dich, mein Gott”(憐みたまえ、我が神)の内なる感情表現は説得力がある。

このアリアでは、オブリガート・ヴァイオリンのニュアンスの豊かさも聴きもので、器楽を担当するイングリッシュ・バロック・ソロイスツが常に陰影豊かな卓越した表現を行なっているのも3時間半に及ぶ長丁場を飽きさせずに聴かせてくれる大きな力になっている。

尚、ライナー・ノートにガーディナー自身の『マタイ』の構成区分の解釈が付されているのが大変参考になる。

こうしてオリジナル楽器の優れた『マタイ』を聴くと今日のバッハ演奏の新しい流れの方向がはっきり示された録音だったという確信が持てるほど、この演奏は新鮮な魅力に満ち溢れている。

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classicalmusic at 12:18コメント(0)バッハ | ガーディナー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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