2020年12月24日

日本におけるバッハ研究第一人者、礒山雅氏のライフワークに相応しい高度なマタイ受難曲研究書


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マタイ受難曲はJ.S.バッハの最高傑作、そして磯山雅氏は日本におけるJ.S.バッハ研究の第一人者である。

その磯山氏がマタイ受難曲と真っ正面から取り組んで、長大な受難曲のテキストを新しく訳出し、ひとつひとつの場面、ことば、フレーズに解説を付した成果が本書になる。

礒山氏のライフワークに相応しい高度な研究書であり、バッハのマタイ受難曲鑑賞の為のガイドブックとしても計り知れない理解と助言を与えてくれる。

文章は難解な術語もなく、一般向けに理解しやすく読みやすいものになっており、理解に難渋することのないのが特徴でもある。

しかも平易そのものの文章に盛り込まれた高度な内容は、愛好家から専門家まで幅広い読者を満足させるものだ。

礒山氏はマタイを構成する全68曲に自らの訳と解説、そして可能な限りの解釈を示し、参照楽譜の断片も多数掲載している。

本書を読み進めていくとバッハが如何に心血を注いでこの曲を作曲していったかという事を思い知らされる。

著者がバッハの最高傑作と言ってはばからない理由がそこにあり、またその説明にも説得力がある。

特に残された自筆譜から読み取る各場面の心理描写における調性の選択、そして形象や表象、数象徴については作曲家の天才的な、あるいは殆ど病的なまでの技巧が凝らされている事実には感動を禁じえない。

何故なら私達が実際の音楽を聴いてそれを総て感知できる為には相当の学習が必要だからだ。

つまりバッハは聴衆はともかくとして自分自身の為にこの曲を書いていたのではないか、という疑問さえ生じてくる。

興味深い逸話としては、当時のパート譜から判断される楽器奏者の持ち替え演奏だ。

経済的にオーケストラの人員を増やすことがままならなかった事情から、彼らもフルに活用されていた。

第1ヴァイオリンの奏者は持ち替えでブロックフレーテも吹いていたのだ。

尚最後に置かれた同曲のCD批評には、彼の正直で忌憚の無い意見が述べられていて、どの演奏を聴くべきか迷っている方には最良の手引きとなるだろう。

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classicalmusic at 11:15コメント(0)バッハ  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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