2019年08月22日
コンドラシン、コンセルトヘボウ管弦楽団ライヴ(3)、フランク:交響曲、ベルリオーズ:劇的交響曲『ロメオとジュリエット』(抜粋)
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キリル・コンドラシンが手兵コンセルトヘボウ管弦楽団を振った音源は、オランダ国立放送協会による8枚分とは別に仏ターラから3枚がリリースされていて、最近リマスタリングされてリイシューになったので幸い入手可能だ。
これらは日本人をターゲットにしているようで、簡易ながら日本語によるライナー・ノーツが付いているのは親切な配慮だ。
このディスクに収録された2曲はフランクの交響曲及びベルリオーズの劇的交響曲『ロメオとジュリエット』からの抜粋で、1977年及び1974年のそれぞれコンセルトヘボウでのコンサート・ライヴになる。
尚前者にはバイエルン放送交響楽団との1980年の放送用録音がある。
音質はこの時代のライヴ録音としては良好で、オーケストラとホールの響きがかなり鮮明に捉えられているが、客席からの咳払いや雑音がいくらか煩わしい。
フランクはドラマティックな表現を前面に出そうとするとこけ脅しに聞こえ、整然とした形式や作品の深みが伝わらない。
重心を低く保つコンドラシンの指揮は流石にオルガンのような威厳と多彩な音色の変化の中に堂々たる循環形式を描き出している。
名門コンセルトヘボウの音色は、それほど派手でもきらびやかでもないが、こうした音楽には独特の重厚さが滲み出ていて伝統の重みを感じさせずにはおかない。
作品の本質を掴んだ数少ないサンプルとして価値の高い演奏だが、3年後のバイエルンとの共演の方がコンドラシンのより徹底した哲学が示されていると思う。
ベルリオーズは交響曲の体裁で作曲されているが実際にはシェークスピアの同名の戯曲からインスピレーションを得たグランド・オペラ演奏会形式の言ってみればカンタータのような内容を持っている。
ここではソロやコーラスの加わる部分を除いて前半の3部を抜粋し、演奏効果を考慮して曲順を入れ替えてあるが、作曲家の巧妙なオーケストレーションを活かした抒情性の表現が美しい。
衣擦れのようなシックで温かみのある弦楽の静謐さから、ポロネーズの華麗なバレエ・シーンを髣髴とさせる『キャピュレット家の饗宴』までが映像のように展開する。
ボリショイ劇場でオペラ指揮者としてキャリアを積んだコンドラシンの手腕が面目躍如のレパートリーのひとつだが、彼が西側に亡命してからオペラ全曲盤を遺さなかったのが惜しまれる。
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