2019年09月03日
オーケストラにスピリットを、クライバーの『魔弾の射手』序曲及び『こうもり』序曲のリハーサル
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このDVDには若き日のカルロス・クライバー指揮による南ドイツ放送交響楽団演奏のヴェーバーの『魔弾の射手』序曲及びJ・シュトラウスの『こうもり』序曲のリハーサル風景とその本番の模様が収録されている。
どちらも1970年に制作され、シュトゥットガルト放送局からテレビ番組として放映された。
ちなみに当時クライバーは40歳で、彼の数少ない練習風景の貴重な記録だ。
オーケストラは過去にフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュが客演したこともある由緒ある楽団だが、おそらくオペレッタの伴奏など経験が無い、いくらか不粋な面も窺える。
それを如何に彼が乗り気にさせるかが腕のみせどころだ。
それ故彼らが得意とするのはむしろヴェーバーの方だろう。
しかし時折クライバーのかなり抽象的な言い回しによる要求を理解できない様子も正直に映し出されている。
またこの映像から判断すると、団員の平均年齢が高く、頑固そうな雰囲気も感じられる。
いずれにせよ本番では随分プログレスがみられることから、質のいいオーケストラであることは言うに及ばない。
クライバーのプローべはエキサイティングで、比喩的な指示が多い。
決して楽譜にこう書かれてあるからそうしろと要求するのではなく、楽員一人一人にその音楽に対する明確なイメージを喚起させながら曲作りを進めていくところに特徴がある。
曲想の表現の例えを話している時、「むこうの鏡に(テレビ番組のポスター)美男のヴァイオリン奏者が指揮者を殺そうとしている。だが私はいつも武装しているんですよ」などと言って団員の顔から笑みを引き出すことにもそつが無い。
またJ・シュトラウスの方もクライバーの『こうもり』に対する考え方がよく示されている。
端的に言えばシュトラウスの音楽には、喜怒哀楽があるので、しっかり濃淡をつけて演奏するように指示し、オーケストラが完璧な音を出すまで厳しい要求をしている。
特に機械的(事務的)に演奏することが嫌いで、彼のシュトラウスに対する熱い情熱と神がかり的な感性が宿っていることがよく判る。
モノクロ、モノラル録音でリージョンフリー。
言語は勿論ドイツ語だが、字幕スーパーは英、仏、西、伊の四ヶ国語で収録時間は2曲合わせて約102分程度。
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