2019年11月26日

ブルーレイ・オーディオで聴くカラヤンの全盛期、1960年代初期のベートーヴェン


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古い音源ながら新規の24bit/96kHzリマスタリングも良好で、ブルーレイ・オーディオの長所が良く出ている。

アナログ時代の名残でマスター・テープのヒス・ノイズが聞こえるにしても、音場がより立体的になり、それぞれの楽器の音像もかなり明瞭に聴くことができるし、低音から高音までのオーケストラのサウンドの拡がりも充分で、CDで初めてリリースされた時の音質より格段に向上している。

綴じ込みだがライナー・ノーツもしっかりしたコレクション仕様で、資料としての価値も高い。

またこれも既に指摘されているようにCDとの抱き合わせ商法ではなく、単独のブルーレイ・オーディオ・ディスクでの全曲リリースが好ましい。

ライバルのワーナーからはリマスター盤は集大成されたものの、高音質盤の方は二の足を踏んでいるのが惜しまれる。

この交響曲全集は1997年にドイツ・グラモフォン創立100周年記念として同社から刊行された全20巻87枚のベートーヴェン・エディションの第1巻に組み込まれた音源だ。

筆者自身は実はベーム、ウィーン・フィルの方を期待していたのだが、当時まだ帝王の威厳に輝いていたカラヤン盤が選ばれたのも、売れ筋から考えて当然と言えば当然の結果だった。

しかし改めて鑑賞してみると、確かに音楽的にも無駄がなく颯爽としたテンポ感やオーケストレーションの再現のスマートさは、幾らか頑固なまでにスコアに誠実なベームとは対照的であり、ベートーヴェン演奏の新時代を築いたディスクとしても強い説得力がある。

1960年代の全集は、ベルリン・フィルの芸術監督に就任して7年が過ぎ、フルトヴェングラーのオーケストラからカラヤンが自らの手中に収めつつある時期に、ベルリン・フィルにとっても最も重要なレパートリーであるベートーヴェンで自らの力と新生ベルリン・フィルを世に問うたもの。

この頃には既にカラヤンのスペクタクルなサウンド・スタイルは確立されていて、ここでもベルリン・フィルの実力を縦横に発揮させた濃厚なオーケストレーションが特徴的だ。

その表現は後の2度の録音より鮮烈で、彼のベートーヴェンの音楽に対する創造的な気概に満ちている。

トスカニーニの影響が強いなどと言われたこともあるが、今聴くとそこにあるのはやはりカラヤンの個性である。

しかもトスカニーニの亜流的な演奏とは画然と異なり、主観と客観が見事にバランスした演奏の清新な表現は今も説得力を失わない。

溌剌とした覇気とカラヤン特有の演出の妙が絶妙のバランスを保っていて、テンポにたるみがなく、表情は率直でむらがない。

ドイツ・グラモフォン社が持っていた新録音ではなく、この演奏を選んだ理由は演奏の質の高さだけでなく、よい意味でのスタンダード性からだろう。

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classicalmusic at 14:29コメント(0)ベートーヴェン | カラヤン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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