2020年03月26日
バロック・トランペットの響き、バルサムの新アルバム
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バルサムが再びナチュラル・トランペットに挑戦したアルバムになり、中でも白眉はテレマンの協奏曲ニ長調で、編曲物ではなくトランペット・ソロのために書かれたオリジナル作品だ。
第1楽章アダージョの高音での非常に息の長いカンタービレを彼女は朗々と歌い上げている。
ドイツjpcのサイトではこの録音シ−ンを動画でアップしていて、実際の演奏が奏者にとってもかなり綱渡り的なテクニックであることが想像される。
恐らく循環呼吸を使っていると思われるが、持続するメロディーラインの美しさは流石だ。
ヘンデルの『王宮の花火の音楽』及びバッハの『クリスマス・オラトリオ』のコーラスを省いてシンフォニア風にアレンジしたものは、元来トランペットが加わる作品で、パーセルの『メアリー二世のための葬送の音楽』とともにバロック音楽の荘厳さとドラマティックな一面が効果的に表現されている。
私事で恐縮だが、筆者の少年時代はバロック音楽リバイバルの黎明期で、発掘されつつあったヴィヴァルディを始めとする作曲家達の作品の生き生きした新鮮な響きが本格的なバロック音楽だと思っていた。
当時全盛期のイ・ムジチ合奏団の来日公演を聴きに行って、子供ながらバロック通を気取っていたものだ。
しかしその後ピリオド楽器による再現が一般的になると、実はモダン楽器、モダン奏法による演奏は現代に創り上げられた解釈であり、バロック本来のサウンドからはかなり乖離していたことを知らされた。
トランペットもそのひとつで、モーリス・アンドレが愛用していた小型の楽器はバロック時代には存在しなかった、現代の特注品だったことも記憶に新しい。
この演奏集でバルサムが使用しているのはバルブ・システムのないナチュラル・トランペットである。
補助孔を開けているがテクニックさえ習得すればスケールやトリルも演奏可能で、鋭さが控えめのマイルドな音色に特徴がある。
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