2020年03月18日

ヴィエンナ・スクール、伝統的音楽性(3)


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UHQCD化されたウェストミンスター復刻盤30枚のひとつで、モ−ツァルトの2曲の協奏交響曲を収録しいる。

ヴァイオリンとヴィオラのための変ホ長調が1951年、またカップリングされている4人の管楽器奏者が加わるオーボエ、クラリネット、ファゴット及びホルンのための変ホ長調は1949年の録音なので音質が心配だったが、想像以上にバランスの良好な音源だ。

ウェストミンスター盤は過去何回か復刻されているが、オリジナル・マスターが日本人グループによってアメリカで再発見されるまでは、出自不詳の板起こし盤もあったようで、その意味でも今回のUHQCD化ではいずれも比較的奥行きのあるしっかりした初出盤の音質が生かされていると思う。

ヴァルター・バリリのヴァイオリンは線は細めだが良く徹る艶やかな典型的ウィーン流の奏法で、ごく控えめだがポルタメントなどロマン派の名残を残しているのが興味深い。

確かに現代風のモーツァルトとは言えないが、演奏の全体像としては決して大時代の恣意的解釈を引き摺っているわけではなく、むしろその瑞々しさからは新時代を予感させるような新鮮なサウンドを伝えている。

ヴィオラのポール・ドクターとの絶妙なデュエットも聴きどころだ。

一方4本の管楽器が加わる変ホ長調の作品では、ここでも当時のウィーン・フィルの花形奏者を連ねていて、それぞれがモーツァルトの音楽性を謳歌するような、気の利いたアンサンブルで聴く者に幸福感を与えてくれる。

まだ戦後の混乱期だったことを考えると、彼らの音楽に対する不屈の情熱と演奏への意気込みを感じずにはいられない。

ウィーンでは1945年3月の空襲で、シュターツオーパーを始めとするいくつかの演奏会場が大破するまでオ−ケストラの定期演奏会やオペラ上演も平然と行われていた。

しかし連合軍占領後、音楽家の活動は現実的に皆無に等しかったようだ。

二ューヨークで設立されたウェストミンスター社は、当初ウィーンの演奏家を中心にレコーディングを開始した。

仕事に飢えていたアーティストは安く使えたし、それにも増して超一級の演奏が期待できたからだろう。

実際彼らは水を得た魚のように次々と名演奏を遺してくれた。

それも今では聴けなくなってしまったウィーンの伝統的な音楽性を惜しみなく披露しているのがこのシリーズの価値と言える。

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classicalmusic at 12:21コメント(0)モーツァルト  

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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