2020年04月22日

レオンタイン・プライス、白眉の黒人霊歌集 


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レオンタイン・プライスは欧米各地の歌劇場でオペラ歌手としてデビューした後も、更に歌曲のジャンルで本格的な研鑽を積んでいった。

この12枚のCDにまとめられたセットでは英語やイタリア語は勿論のことドイツ語、フランス語、スペイン語の歌詞を自在に歌いこなし、その多彩な表現力と彼女特有の天性の美声に加えて知性が調和したスケールの大きな歌唱を聴くことができる。

少し暗めの陰影に富んだソプラノの声質は、こうした歌曲の表現にも適していると思う。

彼女はまたカーネギー・ホールでのリサイタルを2回開いているが、それぞれが1枚ずつのCDに収められている。

1回目は1965年で、こちらは彼女全盛期の実力を遺憾なく発揮したもので、声の瑞々しさ、テクニックそして表現の巧みさなど、どれをとっても最高のライヴになっている。

それに反して2回目は1991年、プライス64歳の時のもので、コントロールが効かなくなった声を殆んどパワーで押し切った感じだが、ファンからは大喝采を浴びている。

フリッツ・ライナー指揮、シカゴ交響楽団とのベルリオーズの『夏の歌』、ファリャの『恋は魔術師』そしてバーバー自身のピアノ伴奏による彼の歌曲集ライヴ、更に2枚の黒人霊歌集及びアンドレ・プレヴィンとのポピュラー・ソング集は白眉だ。

さまざまな声楽的技巧を凝らしているのは言うまでもないが、むしろプライス自身の身体から自然発生的に迸る直感的な閃きに満ちていて、その天衣無縫でダイレクトな表現が身上だろう。

黒人霊歌集では高らかな歌唱の中に込み上げる悲しみを感じさせて秀逸。

ニューヨークのメトロポリタン歌劇場に初の黒人歌手として登場したのはマリアン・アンダーソンだった。

人種隔離政策がとられていた当時のアメリカで、1955年に57歳でのメト・デビューは勿論例外的なイベントだった。

しかしそれはたった一度だけの契約で、しかもコントラルトの低い声質のために『仮面舞踏会』のウルリカという汚れ役に甘んじなければならなかったのも事実だ。

一方プライスは先輩の切り開いた道を更に発展させ、一度はメト・デビューを拒否したものの、61年には正式な契約を結び、堂々プリマ・ドンナの栄誉を獲得している。

クラムシェル・ボックスに収納された12枚のCDジャケットにはそれぞれ初出時のデザインが印刷されている。

38ページのライナー・ノーツには曲目紹介と録音データの他に数葉のスナップ、そしてごく簡単な彼女の略歴とそれにちなんだエピソードが英、独、仏語で掲載されている。

全体的に録音状態は極めて良好だが、節約企画のためか歌詞対訳は省略されている。

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classicalmusic at 12:53コメント(0)プレヴィン | ライナー 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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