2020年04月15日
夭折の天才グィド・カンテッリの軌跡
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ザ・ワーナー・コンプリート・レコーディングスと銘打ったこの10枚組のボックスは、既にEMIのイコン・シリーズでリリースされた9枚のリニューアル盤になり、リカップリングによってCD1枚分多くなっているが同一内容で新音源はない。
ただしライナーノーツによるとCD1ロッシーニの『コリントの包囲』序曲、カセッラの『パガ二ニア−ナ』及びCD10のドキュメンタリーを除く総てが新規にリマスタリングされていて、確かに音質も向上している。
ちなみにCD2のフィルハーモニア管弦楽団を振った『悲愴』は1952年のモノラル録音だが、かなり鮮明でオ−ケストラの分離状態も時代相応以上の仕上がりだ。
またそれぞれのジャケットは初出LPのオリジナル・デザインに準ずる個別のデザインが印刷されている。
ワーナーのセットにはありがちだがライナーノーツのトラック・リストには録音データの記載がなく、各ジャケットの裏面を見なければならないのがいくらか煩わしい。
カンテッリは常に知的で明晰な解釈な中にも、個性豊かで決して作為のない迸るような強い情熱を持ち合わせていた。
チャイコフスキーの第5番の冒頭では引き摺るようなモチ−フが逃避行をイメージさせ、ただならぬ気配を感知させる。
第2楽章の弛緩のないカンタ−ビレと後半の盛り上げ方、また終楽章でのクライマックスの凱歌に至るブラス・セクションの咆哮や一気呵成のコーダなどに彼の非凡さが良く表れている。
イタリアの多くの指揮者がそうであるように、カンテッリもオペラ指揮者としてキャリアを開始した。
ミラノ・スカラ座の音楽監督にはジュリ−二の後を継いで1956年に就任するが、更に前任者のデ・サーバタやジュリー二も純粋なオ−ケストラル・ワ−クの演奏にも卓越した才能を示していたので、スカラ座は彼の能力を更に発展させるポストだった筈だか、直後に襲った不慮の事故によってカンテッリの将来は断ち切られてしまう。
彼はジュリー二より6歳年下だったが、もしキャリアを続けることができたなら良きライバルとなっていたに違いない。
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