2020年04月21日

ショルンスハイム才気煥発のハイドン:ピアノ・ソナタ全集


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ドイツのチェンバリスト、そして音楽学者として活動を続けているクリスティーネ・ショルンスハイムが2003年から翌2004年にかけて完成させたハイドンのソロ・ピアノ及び連弾のためのコンプリート・ワーク集。

13枚のCDにソナタと題された57曲(作品番号の上では第62番まで)と更にそれ以外のヴァリエーション、ファンタジー、断片を含む14曲を網羅している。

尚最後のCDはこの作品集の制作に当たって彼女へのインタビューという形で、実際に彼女がそれぞれの楽器の響きを聴かせながら解説していく興味深いレクチャーになっている。

この録音に使われたピリオド楽器は総て歴史的なオリジナルか、あるいはその複製で、当然その楽器によって表現方法も異なっている。

比較的短期間に集中して録音されたこともあって、一貫した解釈と彼女の才気煥発で溌剌とした演奏が特徴で、楽器の特性をつぶさに捉えた音質の良さも特筆される。

連弾のための作品では師でもあるアンドレアス・シュタイヤーとの協演になる。

曲の配列は概ねクロノロジカルに並べられている。

このセットのセールス・ポイントはそれぞれの時代にハイドンが実際に使用していたと判断される5種類の鍵盤楽器を選択して弾き分けていることだ。

彼女は学者としてもこのあたりをかなり詳細に研究しているだけでなく、楽器の音色に関しても鋭敏な感性を発揮してその時代の音の再現にも余念がない。

例えばCD1−3では復元された二段鍵盤チェンバロ、CD4ではクラヴィコードの複製、CD5及び7は1777年制作の二段鍵盤を持つヒストリカル・チェンバロ、CD6、8−11は1793年製のハンマーフリューゲル、CD12と13は1804年製のハンマーフリューゲルという凝りようだ。

しかし通して鑑賞してみると、この時代が鍵盤楽器にとっては大きな転換期であり、作曲家たちによって伝統的なチェンバロから強弱が漸進的に表現できる新しいタイプのハンマーフリューゲルにとって替えられていく過程も理解できる。

ライナー・ノーツは79ページで、曲目データ及び作品の歴史的な背景がかなり詳しく解説されている。

また小さいながらも使用楽器の写真が掲載され、撥弦機構の違いを図解入りで説明しているのも親切な配慮だ。

鍵盤楽器の変遷史を耳で実体験できる貴重なサンプルとしての価値も高い。

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classicalmusic at 12:41コメント(0)ハイドン  

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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