2020年05月29日
コンドラシン、コンセルトヘボウ・ライヴからブラームス第2番、シベリウス第5番
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前回紹介したプレミア価格で販売されている同じフィリップスのライヴ集で出ているブラームスの交響曲第1番と並ぶ堂々たる演奏だ。
曲想が持つアピール性からすれば前者が圧倒的だが、ここではむしろ充実した音楽性と深みがコンドラシンが創り上げる泰然とした音響の中に表現されている。
それはブラームスが交響曲作家として世に出るための野心作として苦心した第1番に対して、その成功後の安堵とより熟達した作法を示した第2番の違いでもあるだろう。
しかしコンドラシンの作品に対するアプローチは常に明瞭で、地道にスコアを読み込んだ丁寧な仕上げと一貫して失われることのない情熱が感じられる。
また緩徐楽章でも安易な抒情に堕さない緊張感の持続と練り上げられたアンサンブルにコンセルトヘボウ管弦楽団の伝統の重みと音楽性の豊かさが溢れている。
指揮者自身の個性の強調とは縁のない演奏だが、それだけに重厚な終楽章アレグロ・コン・スピリトを聴き終えた時、鑑賞の充実感がひときわ高まる普遍的な解釈に特徴がある。
1975年11月29日のライヴ録音。
カップリングされたシベリウスの交響曲第5番は1976年11月21日のライヴである。
この作品には文学的テーマこそ付けられていないが、森羅万象の変化や北欧の神秘的な大自然の営みを髣髴とさせる作法は明らかに標題音楽の手法で、このジャンルでもコンドラシンは幅広い表現力を披露している。
彼は若い頃ボリショイ劇場で研鑽を積んだ指揮者なので、描写に懲り過ぎると安っぽい音楽に陥り易いことも熟知していた筈だ。
ここではあくまでも交響曲としての構造に注目して主題とその展開など作曲上の技法を感知させる絶対音楽との高踏的バランスが絶妙に保たれている。
第3楽章の清冽なせせらぎや慈雨をイメージさせるパッセージが次第に怒涛のように発展して総奏に至るクライマックスは聴く者に幸福感を与えてくれる。
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