2020年06月02日

コンドラシンのショスタコーヴィチ第9番、芸術家は政権の下僕にはなり得ない


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フィリップスからリリースされたコンドラシン、コンセルトヘボウ管弦楽団のライヴ・シリーズはCD8枚になる。

このディスクには1975年11月29日のプロコフィエフの交響曲第3番及び1980年3月6日のショスタコーヴィチの交響曲第9番がカップリングされている。

プロコフィエフの方は、自作のオペラ『炎の天使』から多くのモチーフを組み合わせて創作された交響曲だ。

コンドラシン、コンセルトヘボウの緊張感溢れるサウンドによって感知される緊密な構成感が、この曲の剛直でパワフルなプロフィールを良く表現している。

プロコフィエフが交響曲という伝統的な器を踏襲しつつ、鮮やかな手法でそれを満たしたことは注目される。

後者に関してはモスクワ・フィルとの交響曲全集がメロディアに遺されていて、その厳格な統率力と統一感は全曲盤を鑑賞して初めて実感できるのだが、コンセルトヘボウとの音源はそれとはいくらか異なった趣き、より融通性のある柔軟な響きで、意外なほど軽妙さが執拗に再現されている。

それはコンドラシンがオーケストラの持ち味を活かすことを忘れない指揮者だったからだろう。

その点では大先輩ムラヴィンスキーとは対照的だ。

それはまたこの作品の性質によるものかも知れない。

ソヴィエト当局は第2次世界大戦の勝利を誇示するモニュメンタルな交響曲を望んでいたが、ショスタコーヴィチはその期待を見事に裏切った。

というより彼には政権の意向に沿った作品を書くことは当初から念頭になかったかのように思われる。

第1楽章はおもちゃの兵隊のマーチさながらで、それほど盛り上がらない終楽章は当局にとっておちょくりとしか映らなかっただろう。

早速ジダーノフ批判に曝されてこの交響曲はお蔵入りになってしまう。

しかしその事実は、芸術家は時の政権の下僕にはなり得ないことを端的に示すことにもなり、亡命後のコンドラシンが母国ソヴィエトとの関係を揶揄するようなところにも面白みがあるのではないだろうか。

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classicalmusic at 17:16コメント(0)コンドラシン | ショスタコーヴィチ 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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