2020年06月03日
コンドラシン、ラテン系作品の貴重なレパートリー
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コンドラシンのレパートリーの大半はスラヴ及びゲルマン系の作曲家の作品で占められているが、例外的にラヴェルは比較的良く採り上げた。
しかし楽式に則った交響曲を頂点とするオーケストラル・ワークが彼の本領を最も発揮できる曲種とすれば、それ以外はコンサートのプログラムとしてはあくまで際物的な存在だったと言える。
ラヴェルはここに収録された1972年11月30日のライヴ録音、バレエ音楽『ダフニスとクロエ』の他にもモスクワ・フィルとの『スペイン奇想曲』や『ラ・ヴァルス』などの音源が遺されているので、彼の数少ないラテン系作品の解釈としても貴重だ。
バレエ音楽には勿体ないほどのスケールの大きさと、森羅万象を表現する大胆な指揮が冴え渡っている。
またコーラスの表現力を一新した解釈も普段オーケストラ・ピットから聞こえてくる音量からは想像できない迫力を持っている。
アルフレード・カセッラはイタリアの作曲家で、カップリングされた『パガニニアーナ』は1979年11月17日のライヴになる。
こちらはパガニーニ流の無窮動の楽章で両端を挟まれたポロネーズのヴァリエーションとオペラ・アリア風のヴァイオリン・ソロによるロマンスの4楽章から構成されている。
こうした作品はきわものであっても、オーケストラが音楽的にも、またテクニック的にも第一級の腕を持っていないと興醒めになってしまう。
彼らの気の利いた音楽性とヴァイオリンの超絶技巧を髣髴とさせる巧みなアンサンブルによるパフォーマンスは、エンターテイナーとしても一流であることを証明している。
キリル・コンドラシンはヴァン・クライバーンが1958年にチャイコフスキー・コンクールの覇者となった時、彼の伴奏者として当時のソヴィエトの指揮者では逸早くアメリカ公演を果たしたことがきっかけで、欧米のメジャーなオーケストラとのコンタクトを持つことができた。
それは最終的にコンドラシンの西側への亡命を決意させることになるが、政治亡命の手続きに明るく、既に実績のあったコンセルトヘボウの理事長ピエト・ヘウェケメイエル氏が滞在を保証してくれたオランダに落ち着くことになり、同管弦楽団の終身指揮者にも任命された。
彼らとの共演は亡命前の1968年から始まって殆んど毎年定期コンサートに出演し、1982年からはラファエル・クーベリックの後任としてバイエルン放送交響楽団の首席指揮者就任が決まっていた。
しかしその前年に突然他界したために期待されていたその後の活動は実現しなかった。
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