2020年06月29日
ベームのブルックナー『ロマンティック』、ブルーレイ・オーディオの仕上がりとしては及第点どまり
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ブルーレイ・オーディオとしての音質改善への期待が大き過ぎたためか、思ったほどではなかった。
デッカの音源自体に劣化が生じているのかも知れない。
確かに全体の音像も細密画的になり解像度も向上しているが、ウィーン・フィルのおおらかな空気感が少しばかり後退して、例えばオーボエの音色がやや鋭く痩せたように聴こえる。
マスターの保存状態やその消耗によっても変わってしまうだろうが、最近聴き込んでいる同時代のスプラフォン音源の方が優っているものが多い。
演奏内容については既に過去に投稿した名演なので今更云々しないことにする。
尚このディスクでは同音源の3種類のリマスタリングを聴き比べることが可能だが、それらの中での大差は感じられなかった。
このディスクの場合これまでSACDを始めとするさまざまなバージョンでリリースされてきた。
今回は粗製乱造とまでは言わないがブルーレイ・オーディオ化する場合先ず音源の吟味は必須だろう。
LP盤やレギュラー・フォーマットのCDと大差ない音質しか確保できないのであれば、改めてブルーレイでリニューアルする必然性はない。
廉価盤にしたのはそうした理由かも知れない。
理想的には最初からDSD録音された専用の音源から制作することが求められるので、このブルックナーのような歴史的名演は音質の改善という点に関しては当たり外れがあることも念頭に置かなければならないだろう。
1973年11月にウィーン・ゾフィエンザールで行われたセッション録音で、大編成のオーケストラの収容能力には限界があるムジークフェラインに代わって、デッカがその録音に頻繁に使ったプールの上に板を渡した仮設舞台でしかないが、音響空間が広いためか意外にもブルックナーなどの豊麗なサウンドを拾わなければならないレコーディングには向いていた。
このために全楽器が鳴り響くクライマックスではひとつの音塊になることが避けられて音の進展も良好だ。
また二手に分かれたブラス・セクションも力技ではなく、あくまでも音楽の推進力が伝わってくる録音であることも確かだ。
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