2020年06月17日
ヌヴー生誕百周年のリマスター盤
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収録曲は既出のEMIレコーディング集に組み込まれたものばかりなので、初出音源はないが最良の保存状態のマスターをリマスタリングしたところがセールス・ポイントだろう。
ヌヴーは1949年に30歳で夭折したヴァイオリニストなので、最新の録音でも1948年で音質に関してはそれほど期待していなかったが、概ね改善されていてこれまでにリリースされたものより確かに聴き易い。
ただし最後の1枚の中でもタルティーニとリヒャルト・シュトラウスはスクラッチ・ノイズのような雑音に塗れていて、お世辞にも保存状態が良いとは言えない。
ちなみに収録曲数ではヴェ二アス・レーベルの7枚組が現行では最も充実したコレクションになっている。
これから購入予定のファンには有力な選択肢になるはずだが、これも一回限りのリリースで再生産は望めないので、入手困難になることが予想される。
ヌヴーの奏法は、情念の渦巻くような濃厚な生命感にあふれた表現を可能にした鋭い感性と、それを支える完璧なテクニックから生み出されたものだ。
チェリストで言えばジャクリーヌ・デュ・プレのそれに一脈通じるものがあるかもしれない。
このセットの中でも2曲の協奏曲とショーソンやラヴェルの作品には彼女の最良の演奏が記録されている。
15歳だったヌヴーが優勝した1935年のヴィエニァフスキ・コンクールで2位に甘んじたオイストラフだが、両者の演奏スタイルが全く異なっていたのも事実だ。
それは表現力の優劣というより、あくまでも音楽に対するアプローチの違いの問題であり、当時のコンクールの音楽美学の傾向が反映されていたことは否めないだろう。
そうした意味でその後のヌヴーの解釈に触れることができないのは惜しまれる。
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