2022年06月18日
パネンカが晩年にヒストリカル・ピアノに挑戦したリストのパラフレーズ集
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チェコの名ピアニスト、ヤン・パネンカが晩年にヒストリカル・ピアノに挑戦したリストのパラフレーズ集。
演奏は流石だが楽器の老朽化のためにパネンカらしいクリアーな表現が聴き取れないのが残念だ。
またある程度は録音状態に由来する音質の濁りで、すっきりした残響が得られていないのかも知れない。
よほどの好事家でもない限りお薦めできない1枚だ。
ここで使われたヒストリカル・ピアノはウィーンの工房マトイス・アンドレアス・シュタインとコンラート・グラーフの設計になる歴史的名器だ。
工匠はナネッテ・シュトライヒャー及びヨハン・バプティスト・シュトライヒャーと記されている。
実際プラハをしばしば訪れていたリスト自身が弾いたピアノで、現在はプラハ博物館所蔵ということだ。
もちろん修復はされているようだが、当時のサウンドがそのまま再現されているとは言い難い。
それは今では手に入らない交換部品など、マテリアル的な問題でもあるだろう。
録音会場はプラハ芸術家の家ドヴォルザーク・ホールで1986年のセッションになる。
リストの作品の中でもパラフレーズはコンサートのアンコール用として採り上げられることはあっても、プログラムのメインになることは殆どない。
その理由の一つは、こうした作品はリスト自身が即興的に弾いた時に最も効果が上がるもので、さもなければよほどのヴィルトゥオーゾの大家が音楽性豊かに弾き切るのでなければ、ちりばめられた超絶技巧に辟易してしまうからだ。
また当時のサロンでは原曲を知っていることが大前提であったことも挙げられる。
パネンカの演奏は、特に2つのオペラからの大曲モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』及びベッリーニ『プリターニ』のグランド・ファンタジーは堂々たる演奏ときめ細かい音楽性で秀逸だ。
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