2020年10月21日

高貴なカンタービレ、チェーザレ・シエピのバス・アリア集


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以前デッカ・レーベルからリリースされたグランディ・ヴォーチ・シリーズの復刻盤。

オリジナルのアリア集はエレーデ指揮、サンタ・チェチーリア音楽院とのモノラル録音で、その他はオペラ全曲盤からのピックアップになる。

特に彼の舞台での当たり役だったヴェルディのオペラのキャラクターではバス歌手の模範になるような究極的な歌唱芸術を堪能することができる。

一方でマイヤベーヤの『ユグノー教徒』で長く引き伸ばす低いCの音は、シエピにとってはご愛嬌なのかも知れないが、筆者が初めてLPで聴いた学生時代には仰天したものだ。

指揮者アルベルト・エレーデは欧米のオペラ畑を専門に歩んだ人で、歌手の声を生かすことにかけては天下一品の腕を持っていた。

それがイタリア人指揮者の伝統的なスタイルでもあり、オーケストラが歌にぴったりと寄り添うように、しかし決して歌を妨げないように伴奏していくことが要求される。

またこうした技に手慣れたサンタ・チェチーリア音楽院管弦楽団も秀逸。

指揮者が歌手を将棋の持ち駒のように使いこなし、原典以外は排除する現代の感覚とは一味違った味わいがある。

チェーザレ・シエピ(1923-2010)がフルトヴェングラーに理想的なドン・ジョヴァンニ歌いとして、その美声と演技を認められたことは周知のとおりだ。

彼は典型的なイタリアのバスで、明るく柔軟な発声と深々とした豊かな声量を武器に、磨き上げられた高貴なカンタービレを駆使して、苦悩に苛まれ、また宿命に葛藤する主人公、いわゆるバッソ・セリオの役柄を得意とした。

彼はまたオペラだけでなく、歌曲や宗教曲、更にはミュージカルからポピュラー・ソングにも精通していたために、こうしたレパートリーの録音も少なからず遺している。

1941年デビュー以来89年まで公式の舞台に立ち、そのスタイリッシュで知的な歌唱は晩年まで衰えをみせなかった。

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classicalmusic at 11:12コメント(0)シエピ | ヴェルディ 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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