2020年11月02日
ケンペ、シュターツカペレ・ドレスデンの際物的レパートリーの愉しさ
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ルドルフ・ケンペがシュターツカペレ・ドレスデンとの長いコラボで遺した名演と言えば、リヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲集がその代表格だが、ヨハン・シュトラウスを始めとする際物的なレパートリーも少ないながら存在する。
このディスクはその廉価盤で、僅か6曲、収録時間47分だがUHQCDバージョンもリリースされている。
1972年から翌73年に彼らのレコーディングの牙城ルカ教会で収録したもので、当時の首席指揮者はブロムシュテットだったので客演になるが、もちろんドレスデンはケンペの古巣でもあり、気心の知れた手兵オーケストラだ。
ちなみにケンペはこうした曲目を1958年と60年にウィーン・フィルともEMIにも録音していて、それらは英テスタメントからの12枚組に加わっている。
聴き比べるとドレスデンはウィーン・フィルほど洒落っ気や遊び心はないし、団員自身が愉しんでいるような解放感もウィーン・フィルには適わないだろう。
ワルツで二拍目の後打ちを先取りするウィーン流のリズムの取り方はドレスデンも試みているが、これもウィーン・フィルの方が板についているのは当然だ。
しかし決して野暮ったい印象はなく、ケンペの統率によって誠実な姿勢が貫かれている真摯な演奏だ。
むしろアンサンブルの正確さや知的にオーガナイズされたダイナミズムではドレスデンが優っている。
ケンペはある程度ウィーン・フィルの即興性や自主的な表現に任せていて、細かい指示を出さなかったのかも知れない。
よく知られているように『金と銀』に感じられるしみじみとした幸福感は流石だ。
またティロル地方の民族楽器ツィターのソロが入る『ウィーンの森の物語』も独特の雰囲気を出していて秀逸。
彼らの演奏からもウィーンへの憧憬が伝わってくるようだ。
大規模なオーケストラル・ワークやオペラだけでなく、こうした庶民的な小品にも絶妙な音楽性を示したケンペの手腕に改めて感心させられるアルバムだ。
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