2020年11月25日

イタリア四重奏団によるモーツァルト弦楽四重奏曲全録音


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イタリア四重奏団が1960年から73年にかけて完成させたモーツァルトの弦楽四重奏曲全23曲のコンプリート・セットになる。

これは91年に刊行されたCD180枚に及ぶフィリップス・モーツァルト・エディションにも組み込まれた。

ひとつの弦楽四重奏団がモーツァルトの弦楽四重奏を網羅した録音は希少であるだけでなく、演奏水準の高さでも第一級の曲集だけにお薦めしたい。

彼らの演奏は一見快活で自由闊達のように聴こえるが、実際にはダイナミズムの変化を細部まで入念に研究し尽くして、それを忠実に実践に移している。

明るく力強い響きとオーケストラを髣髴とさせる大胆な表現、またイタリアン・スタイルの流麗なカンタービレが彼らの武器で、イタリア風モーツァルトの喜びを堪能させてくれるセッションだ。

アンサンブルとしても良く鍛え上げられていて、ライヴでは常に全曲暗譜で臨んでいた。

実際彼らの合わせ稽古は昼食を挟んで一日中、時には夜半まで続けられるということも珍しくなかったというエピソードは、第2ヴァイオリンのエリーザ・ペグレッフィの語るところだ。

モーツァルトの初期の弦楽四重奏曲は彼が11歳の時に始まる一連のイタリア旅行の成果で、弱冠14歳の時に作曲した第1番ト長調の様式はサンマルティーニの同作品を手本にしている。

後にハイドンの高度な作曲技法を取り入れる前に、彼がボローニャのマルティーニ神父に師事して伝統的な対位法と声楽曲のカンタービレを習得していたことは、その後のモーツァルトの音楽性の洗練にも影響を与えていて、その技法は宗教曲、オペラにも一脈通じている。

カップリングは作曲のクロノロジカルな順序で編集されているので、イタリア様式時代、ザルツブルク時代、ハイドン・セット、そしてプロイセン・セットと創作年代を追って変化する作風も理解し易い。

またモーツァルトがハイドンから受け継ぎ、更にベートーヴェンに引き継がれるカルテットの形態が、もはや完成された小宇宙であることも納得できる。

音質はフィリップスの音源らしく鮮明で良好。

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classicalmusic at 17:00コメント(0)モーツァルト | イタリアSQ 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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