2020年12月09日

アバド追悼盤のリニューアル


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クラウディオ・アバド追悼盤として2014年にリリースされた初出音源のリニューアル版である。

ウィーン・フィルを振ったシューベルトの『未完成』が1978年、ヨーロッパ室内管弦楽団とのベートーヴェンの交響曲第2番及びワーグナーの『ジークフリートの牧歌』が88年の、いずれも彼が常連だったルツェルン音楽祭からクンストハウスでの録音になる。

音質についてだが、オリジナル・アナログ・テープの保存状態が良く、独自のリマスタリングによって良質のサウンドが再現されている。

ふたつのコンサートの間には10年の隔たりがあるので後者の方が音場の拡がりと臨場感においてやや優っているが、どちらも鮮明で破綻もない。

またルツェルン音楽祭の聴衆はマナーが良く、会場の雑音も極めて少ないのが特筆される。

尚拍手の部分は巧妙にカットされている。

ウィーン・フィルとの『未完成』は第2主題のテンポの遅さが意外だったが、オーケストラの瑞々しい音色の魅力を充分に引き出している。

第2楽章の微妙なダイナミクスの変化と対比で描き出す天上的な穏やかさと情熱的な世界は彼一流のタクトだ。

ベートーヴェンにも共通して言えることだが、緩徐楽章でのカンタービレの美しさはたとえようがない。

特に交響曲第2番ではドイツ音楽の重厚さや深刻さから解き放たれた、あっけらかんとするほどの屈託のなさがある。

確かに構築的な音楽ではないが、聴くものを疲労させない解放感と、時には気前よく大音響を咆哮させるような輝かしい歓喜もある。

しかし決して感性だけに頼ったアプローチではなく、音響力学のコントラストを狡猾に考えた、極めて頭脳的なものであるに違いない。

『ジークフリートの牧歌』ではほの暗い森林の曙と小鳥たちの囀りというよりは、青空の下の大自然をイメージさせるような平明さの中に、颯爽とした歌心が流れていてあたかもイタリア・オペラのインテルメッツォのようだ。

アバドはオーケストラの設立マニアで、ヨーロッパで幾つもの管弦楽団を新しく組織した。

それはとりわけ若い演奏家に公開演奏のチャンスを与え、また一流のベテラン・アーティストと共演させることによってミュージシャンとしての経験を積ませるためで、後進の育成という面でもクラシック音楽界に大きな貢献をした。

ヨーロッパ室内管弦楽団も彼によって設立されたオーケストラのひとつで、テクニック的にも良く統率された機動力を発揮しながらフレッシュな演奏が特徴的だ。

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classicalmusic at 13:24コメント(0)アバド | シューベルト 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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