2021年07月27日

多少くどいコレナのモーツァルト演奏会用アリア集


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スイスの生んだ名バッソ・ブッフォ、フェルナンド・コレナ・モーツァルト・アリア集の復刻盤である。

前半が1952年のモノラル録音によるオペラ・アリア集、後半が1960年のステレオ録音でオーケストラ付き演奏会用アリア集。

コレナはバッソ・セリオの役柄も器用にこなしたが、彼の十八番は何といっても観衆を抱腹絶倒させるブッフォのキャラクターで、50年代から60年代に国際的なオペラの舞台で最も人気のあった歌手の1人だ。

幸い『セヴィリアの理髪師』のバルトロ、『愛の妙薬』のドゥルカマーラ、『ドン・パスクァーレ』のタイトルロールなどは全曲盤が残されている。

このディスクはオール・モーツァルト・リサイタルで、『フィガロ』ではフィガロとバルトロの両方の役を歌っていて、『魔笛』ではザラストロが意外なところだ。

演奏会用アリア集は、コレナのスタイリッシュな歌唱が曲によっては裏目に出て、多少くどい印象を与えている。

例えば『この美しい手と瞳に』はコントラバスの超絶技巧のオブリガートが付く美しいアリアだが、この曲に関しては彼の同僚だったチェーザレ・シエピのふたつのライヴ録音がイタリア風のカンタービレの手本を示したような演奏で、現在に至るまでベストだろう。

またコレナに一番合っていると思われる『男たちはいつもつまみ食いをしたがる』が何故か入っていない。

彼の喜劇役者としての才能は傑出していて、頑固でケチ、好色で間抜け、知ったかぶりの権威主義者など最も人間臭い性格の役柄では右に出るものがいなかった。

舞台上ではしばしばとっちめられてひどい目に遭うが、コレナの演技はドタバタ喜劇になる一歩手前で踏みとどまっている。

それは彼があくまでも主役を引き立てる脇役であることを承知していたからに違いない。

現在コレナのような強烈な個性を持ったバッソ・ブッフォが殆ど皆無なのは演出上、一つの役柄に突出した人物が求められなくなったことや、指揮者が歌手のスタンド・プレイを許さなくなったことなどが考えられる。

その意味ではオペラ歌手たちが自由に個性を競い合っていたオペラ黄金期の最良のサンプルと言える。

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classicalmusic at 05:28コメント(0)モーツァルト  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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