2020年12月21日

個性派揃いのロシア女流ピアニストの中でも突出したマリア・ユージナの芸術(26枚組)


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



マリヤ・ユージナ[1899-1970]はタチアナ・ニコラーエワ、マリア・グリンベルク、ローザ・タマルキナなど個性派揃いのロシアの女流ピアニストの中でも突出した人物として知られている。

哲学や文学・美術に通じ、ドイツ語、フランス語、ラテン語にも堪能で、しばしばエキセントリックとも言われたユージナは、バッハやベートーヴェン、ブラームス、シューベルト、モーツァルトなどドイツ・オーストリア音楽を得意とする一方、20世紀作品もよくとりあげていた。

今回、イギリスのスクリベンダムから登場するセットは、26枚組という大規模なもので、ユージナの個性的な演奏を一気に手軽に楽しめるのが朗報だ。

録音年代は1947年から1970年の23年間、初期のものには音質の良くないものも多く含まれているが、演奏の個性は十分に伝わってくる。

ユージナの若い頃は、ソ連政府はモダニズムやアヴァンギャルドにも協力的で、音楽、演劇、美術、文学などさまざまな作品が登場していた。

中でも音楽は、プロパガンダ活動の一環として、国外からもさまざまな音楽家を招聘、ヒンデミットやバルトーク、ストラヴィンスキー、シェーンベルク等々、のちに禁止されることになる作曲家の作品を多数とりあげており、特にユージナの暮らしていたレニングラードでは、その規模もかなり大きなものとなっていた。

ソ連建国の1922年からヒトラー内閣誕生直前の1932年にかけて、レニングラードには、ドイツを中心に国外から数多くの指揮者が客演。

レーニン/スターリンの社会主義プロパガンダの一環ということもあってか、その人選は非常に豪華で、フリート、クレンペラー、アーベントロート、シュレーカー、モントゥー、ワインガルトナー、ミヨー、ワルター、クライバー、カゼッラ、アンセルメ、クレメンス・クラウス、オネゲル、ツェムリンスキー、クナッパーツブッシュ、ブッシュ、ターリヒなどすごい顔ぶれ。

さらにソ連の指揮者・演奏家も活躍し、20代なかばだったユージナの弾くバッハを聴いたクレンペラーは深い感銘を受けたと語ってもいた。

「私の人生において、太陽のように崇めるピアニストは3人いた。ソフロニツキー、ネイガウス、そしてユージナだ!」と語るリヒテル[1915-1997]は、ユージナについて「常識を逸脱し尋常ならぬ芸術家」と評した。

宗教弾圧下でありながら、演奏会で十字を切るという振る舞いに呆れながらも、彼女のバッハやベートーヴェン、ブラームス、ムソルグスキー、シューベルトなどの演奏を称える一方、表現された音楽は作曲家のものではなく、まさにユージナそのものであるとも述べていた。

ユージナの葬儀では、リヒテルがユージナから褒められていたというラフマニノフを演奏するなどしていた。

以下、リヒテルがユージナの演奏について語った言葉である。

■バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻第22番 →「グールドもユージナに較べればかわいいものだ。」

■モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番、シューベルト:即興曲変ロ長調、ブラームス:間奏曲イ長調(Op.118-2) →「彼女のあとに弾く気にはなれない。弾いたらみっともないことになる。」

■リスト:バッハのカンタータ『泣き、歎き、憂い、怯え』の主題による変奏曲 →「天才的な演奏だった。とどろきわたるのではなく、心に染みいるような演奏で、ピアノ曲というよりは、ミサ曲を聴いているようだった。ユージナはまるで儀式を執り行っているようにピアノを弾いた。祝福するように作品を弾くのだ。」

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 00:57コメント(0)バッハ | リヒテル 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ