2022年03月10日
精緻さと重厚さを兼ね備えた20世紀最高のベートーヴェン演奏!カラヤン&ベルリン・フィルのベートーヴェン交響曲全曲連続演奏会(1966年来日公演)
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カラヤンは、DVD作品を除くと、4度にわたってベートーヴェンの交響曲全集をスタジオ録音しており、1977年の普門館でのライヴによる全集もあるが、本全集はそれらいずれの全集をも大きく凌駕していると言っても過言ではあるまい。
1966年と言えば、まさにカラヤン&ベルリン・フィルの全盛時代で、心身ともにベストコンディションであり、精緻さと重厚さを兼ね備えた20世紀最高のベートーヴェン演奏と言える。
ベルリン・フィルも、名うてのスタープレーヤーがあまた在籍した楽団史上でも特筆すべき技量を誇った時代であり、それぞれ最高の状態にあったカラヤン&ベルリン・フィルによる演奏は、おそらくはオーケストラ演奏史上でも空前にして絶後の高水準を誇っていたと言ってもいいのではないだろうか。
弦楽合奏の鉄壁のアンサンブル、唸るような低弦の重量感のある響き、ブリリアントなブラスセクションの響き、桁外れのテクニックを示す木管楽器群の美しい響き、そして雷鳴のように轟きわたるティンパニの響きなどが見事に融合するとともに、カラヤン一流の流麗なレガートが施された、いわゆるカラヤン・サウンドに満ち溢れたまさに圧倒的な音のドラマの構築に成功していたと言える。
カラヤンの前任者であるフルトヴェングラーのような音楽の精神的な深みの徹底した追求などは薬にしたくもないが、音楽の持つ根源的な力強さにおいては、フルトヴェングラーの数々の名演にいささかも劣っているものではないと言えるところだ。
フルトヴェングラーの目指した音楽とカラヤンの目指した音楽は、このようにそもそも方向性の異なるものであり、その優劣を論ずること自体がナンセンスであると考えられるところである。
かつて影響力の大きかった某音楽評論家の偏向的な批評などを鵜呑みにして、本全集のような圧倒的な名演に接する機会すら放棄してしまうクラシック音楽ファンが少なからず存在すると想定されるのは大変残念なことであると言えるだろう。
カラヤンの個性が全面的に発揮されたベートーヴェンの交響曲全集の演奏としては、1970年代にスタジオ録音された3度目の全集を掲げる者も多くいると思われるが、本全集は、実演でこそ真価を発揮するカラヤンならではの途轍もない生命力溢れる力感が随所に漲っているなど、音のドラマとしての根源的な迫力においてはかかるスタジオ録音による全集を大きく凌駕していると言えるところであり、まさにカラヤン&ベルリン・フィルという稀代の黄金コンビによる全盛時代の演奏の凄さを大いに堪能させてくれる究極の名演奏と言っても過言ではあるまい。
音質は、従来CD盤においても音響がイマイチとされる東京文化会館でのライヴ録音と思えないような生々しさであった。
本全集の演奏のうち、「第3」については1982年のベルリン・フィル創立100周年記念ライヴ盤(ソニークラシカルのDVD作品)、「第7」は、同時期の1978年のベルリンでのライヴ盤(パレクサレーベル)に一歩譲るが、それ以外は、カラヤン自身にとって最高の超名演で構成されている圧倒的な名全集と高く評価したいと考える。
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