2021年03月01日

抑制を効かせた中庸の美、シュタルケル&ルージチコヴァーのバッハ:チェロ・ソナタ全集


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バッハはチェロのために無伴奏ソナタと組曲を遺しているが、オブリガート・チェンバロ付きのソナタはヴィオラ・ダ・ガンバのための作品で、ドラマティックな表現よりデリケートな音色を生かす奏法が想定されていることは確かだ。

シュタルケルは元来バロック音楽には造詣の深いチェリストだけにこのソナタ全集でも、ガンバをある程度意識した、抑制を効かせた中庸の美が聴きどころだろう。

この録音は1977年にプラハで行われたセッションだが、チェンバリスト、ルージチコヴァーとは6年遡る1971年にドイツ、シュヴェツィンゲンの音楽祭でも同曲集で共演している。

それだけにこのデュエットが彼らにとって手慣れたレバートリーだったことも、余裕を感じさせる演奏に表れている。

シュタルケルは完璧な技巧に持って初めて優れた音楽が成立するという考えのもとに、自然この上ない右手のボウイングと強靭な左指の独立性により、チェロ演奏技術の頂点に立ったチェリストのうちの一人である。

そのため、演奏にあたって技術的問題は皆無でバッハの音楽を表現することのみに重点を置いている。

トリオ・ソナタ様式の曲であるので、強い表情付けを行えないハープシコードの右手とチェロのバランスに配慮し対位法的絡み合いを重視しダイナミクスを抑えて比較的穏やかな表現で演奏をしている。

従って、コダーイの無伴奏ソナタやバッハの無伴奏組曲で見せる豪放さは聴かれない。

力みがなく自然で控えめな表情を付け強い自己主張を避けた演奏であり、伸び伸びとしていてバッハの声が生で聴こえるようである。

ちなみにシュタルケルは更にその前のマーキュリー時代、ハンガリーの盟友ジェルジ・シェベックとのピアノ伴奏盤もセッション録音している。

一方ルージチコヴァーは同曲集をフッフロやフルニエとも録音しているし、その後もスークの弾くヴィオラ版でも共演しているので、彼女にとっても繰り返し演奏した百戦錬磨で鍛えた曲集だ。

彼女の弾くチェンバロはノイぺルト製のモダン・チェンバロなので、下手をするとやや金属的な音色が耳障りになるが、高音を巧みに抑えながら意外にも大胆なレジスター処理でシュタルケルのチェロに拮抗する斬新な効果を上げている。

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classicalmusic at 11:57コメント(0)バッハ | シュタルケル 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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