2021年12月07日

押しも押されもしない円熟期のジュリーニ、ロサンジェルス・フィルとのベートーヴェン『英雄』、シューマン『マンフレッド序曲』


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カルロ・マリア・ジュリーニは1978年から81年にかけて、ロサンジェルス・フィルとベートーヴェンの3曲の交響曲、都合CD2枚分を録音した。

第3番変ホ長調『英雄』とシューマンの『マンフレッド序曲』をカップリングしたのが当ディスクで、もう1枚が第5番ハ短調『運命』及び第6番ヘ長調『田園』になる。

いずれもジュリーニ60代の円熟期を迎えた堂々たる演奏で、オーケストラを自在に統制した、細部まで思い通りに仕上げた緻密さ、それでいて息苦しくならない流麗な音楽性が溢れた見事なセッションだ。

ジュリーニの演奏は一言で表現すれば、がっちりとした楷書体の枠組みを旋律を土台としながら滑らかに繋ぎながら歌い込んでいくスタイルである。

その完成度が最も高かったのが1970年代から1980年台の前半であり、このディスクもその時期の代表盤のひとつだろう。

テンポは遅いが緊張感が途切れることは決してなく、この曲の構築性を浮かび上がらせてくる当演奏は深い感銘を与えるもので、20世紀後半の『英雄』の名盤のひとつたりえるものだろう。

若い頃の覇気は影を潜めたが、決して勢いが失われたわけではなく、音楽的な深みが聴く者を引き込んでいく。

テンポの設定は非常に落ち着き払っていて、『英雄』ではほぼ一時間を要している。

しかし音楽設計は手に取るように明らかで、第1楽章の壮観な構成力、第2楽章の葬送行進曲の長さに負けない美しさと緊張感の表出は、如何にもジュリーニらしい。

シューマンの『マンフレッド序曲』は特有の渋さがあり、独立して演奏する管弦楽曲としては、それほど輝かしく効果的でもないが、こうした作品にもジュリーニならではの劇的な手法が生かされている。

こけおどし的なダイナミズムは一切なく、ほの暗い音色の中にも濁りのない独自のシューマン像を描き出している。

彼はロサンジェルス・フィルハーモニックに音楽監督として1978年から84年まで務めている。

オーケストラとの信頼関係も良かったためか、一糸乱れぬ統制と自在な音楽性を紡ぎだすことに成功している。

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classicalmusic at 12:10コメント(0)ジュリーニ | ベートーヴェン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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