2021年03月05日

しっかりした構成感、オーケストラの練り上げられた表現、ジュリーニ会心の交響曲2曲


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音質に潤いと明るさが増したリニューアル盤。

ジュリーニ、ロサンジェルス・フィルのコンビでは、これまでのオーケストラル・ワークを見直すような、独自の音楽性を発見することができる。

2曲の交響曲にはどちらもしっかりした構成感が築かれているが、オーケストラの練り上げられた表現の上手さと音色の美しさも特筆される。

ベートーヴェンではあざといと思われるダイナミズムやテンポの抑揚などは避けて、一見古典的な構成の中に音楽の美しさを湛えていて、かえって斬新な印象を与える。

第2楽章のそれぞれのヴァリエーションの特徴を掴んだ演奏、第3楽章スケルツォでの、幽霊の登場のテーマも逆に明瞭に提示して、過去の慣習に囚われない瑞々しさを強調している。

終楽章のクライマックスも開放的で明るい響きが支配的だが、緊張感は失われていない。

『ライン』は4曲あるシューマンの交響曲の中で、ジュリーニが録音したのはこの第3番のみで、ムーティがウィーン・フィルを振ったものと聴き比べてみた。

ムーティは堰を切ったような流れで、青春の息吹を感じさせるのに対して、ジュリーニのそれは、より成熟した趣を持っている。

それはムーティがウィーン・フィルの自主性にある程度任せているのに対して、ジュリーニは1音たりとも譲らない姿勢を示したからかも知れない。

第2楽章スケルツォではムーティが舟歌のように歌わせるが、ここでは油彩の鄙びた風景画をイメージさせる。

そして第4楽章までに溜めておいた底力を終楽章で一気に噴出させるオーガナイズは流石で、ブラス・セクションのファンファーレも効果的に響かせている。

尚マーラー版に準じているのが本盤のセールス・ポイントで、オーケストレーションの旨さでは群を抜き、響きはいいが、シューマン特有の渋さは保たれている。

ジュリーニの演奏美学と感性にもピタリとはまり、叙情性豊かでスケールの大きい壮麗な『ライン』が出現している。

現在では原譜支持が圧倒的だが、フルトヴェングラーやセルなど20世紀の巨匠たちはスコアに手を入れることを主張し、これを実践した。

この録音が行なわれた1980年まではこうしたシューマン演奏はもてはやされていた。

が、昨今ジュリーニ盤は片隅に追いやられている。

今一度脚光を浴びることはあるのだろうか?

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classicalmusic at 22:07コメント(0)ジュリーニ | シューマン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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