2021年03月16日

クラリネットとは異なった柔和な感性、スーク&パネンカのブラームス:ヴィオラ・ソナタ集


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ヴィオラの名手としても知られるスークの演奏は、ヴァイオリンとはまた違って、この楽器の持つしっとりとした味わいを巧みに引き出して、聴く者に強い印象を与える。

長年にわたって培われてきたパネンカとのコンビによるこの録音は、磨きがかかり深みが増した、まさに円熟の境地。

楽想のひとつひとつをじっくりと味わいながら語っていくその巧みさと音楽の自然な流れが、ブラームス晩年の枯淡の心境を雄弁に表出している。

クラリネットのために作曲されたオリジナル版と聴き比べてみたが、印象が全く違って驚いた。

クラリネットによるカール・ライスターの演奏では、特有の寂寥感や諦観がいやがうえにも表れていて、ブラームスの晩年の心境を映し出しているように感じられた。

こちらのヴィオラ・バージョンはむしろ抒情的な美しさと温かみがあり、特にそれは第2番に言える。

スークのごく控えめに入れる効果的なポルタメントなどもスタイリッシュだが、大時代的な耽美趣味がないのも好感が持てる。

スークの奏法はヴァイオリンで聴くそれと非常に近く、容易に彼の演奏を判別することができる。

淡々とした演奏だが、ひとつひとつのフレーズに深い思いが込められており、そうした表情は特に第1番の第1楽章に色濃く漂っている。

遅めのテンポで決して激することがないが、60歳を過ぎたブラームスが書いたアパッショナートの意味するところへの共感が深いところで鳴り響いている。

スークのヴィオラの美しい響き、特に弱音低音域の表情の豊かさは抜群。

ヴィオラではクラリネットのような厳しい表現は不向きで、逆に柔らかな音色と弦楽器の流麗さを生かした演奏は、ブラームスの安らぎの魅力という別の側面を堪能させてくれる。

ピアニストのヤン・パネンカはスークと同郷チェコの大家で、アンサンブル・ピアニストとして良く知られているが、スプラフォンからはベートーヴェンの協奏曲全集もリリースされている。

彼の奏法の特徴は表現がクリアーで、スークと同様に美音を大切にするところにある。

刺激的な打鍵を避け、きめ細かいアーティキュレーションを丁寧に演奏することは、この伴奏でも明瞭に感知することができる。

1990年、プラハのスプラフォン・ドモヴィーナ・スタジオでの録音で、彼らのデュオが完成段階に入ってきたことを窺わせる演奏だ。

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classicalmusic at 12:14コメント(0)ブラームス | スーク 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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