2021年03月22日

音質が向上したヒラリー・ハーンのバッハ無伴奏完結盤


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2回に亘ってリリースされたヒラリー・ハーンの無伴奏を纏めたセットで、SHM-CDバージョンになる。

従来盤に比較して若干音色が明るくなり、艶やかさが増している。

ヒラリー・ハーンは1997年18歳の時ににCDデビュー(ソニー)を飾り、そのデビュー盤がバッハの無伴奏作品(ソナタ第3番、パルティータ第2番&第3番)だったが、残された3曲(ソナタ第1番&第2番、パルティータ第1番)はレコーディングを先送りにしていた。

このデッカからリリースされた『ヒラリー・ハーン・プレイズ・バッハ』をもって、実に20年の時を経て『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』全曲が完成することになる。

デビューからの約20年間でヒラリー・ハーンの音楽性は深化の一途を辿った。

レパートリーを広げ、ヴァイオリン協奏曲の王道的な作品を発表しながら、現代作品に至るまで広く取り上げる現代屈指のヴァイオリニストになった。

2003年にドイツ・グラモフォンに移籍した後は、グラミー賞2度受賞(ソニー時代にも1回受賞)を果たすなど、更に磨きの掛かった技術と音楽性で人々を魅了してきた。

今回デッカから発表されるバッハ・アルバムは、これまで歩んできたおよそ20年という歳月を振り返りながら初心に立ち戻り、新たな世界への一歩を力強く踏み出さんとする確かな意思を感じ取れる、研ぎ澄まされた音色に満たされている。

20年ぶりの解釈の変化を知るためにデビュー盤との聴き比べをしてみたが、当時の颯爽としたフレッシュなイメージを残しつつ、更に洗練味を増した、潔癖とも言うべき完全主義的なスタイルを創り上げている。

20年前の長丁場シャコンヌを含むパルティータ第2番や大規模なフーガを持つソナタ第3番とは多少趣味を変えて、ヴァイオリンを流麗に歌わせながら、ポリフォニーの綾を精緻に紡ぎだすことへの接点を追究した奏法を開拓している。

それぞれの作品の解釈はデビュー当時と大差はなく、恣意的な表現はできるだけ避けて、バッハの音楽が直接鑑賞者に伝わる演奏だ。

それゆえごく個性的な無伴奏を期待した人には当て外れかも知れないが、あくまでもオーソドックスの道を踏み外すことなく、その上に自己のスタイルを築いていくのは安易な道を選択しないハーンの矜持だろう。

その意味でもここに完結したバッハの無伴奏全曲は、彼女の到達したひとつの境地を示している。

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classicalmusic at 21:27コメント(0)バッハ | ヒラリー・ハーン 

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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