2021年06月20日

77歳のマスカーニ自身がスカラ座を振った『カヴァレリア・ルスティカーナ』全曲録音


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この『道化師』『カヴァレリア・ルスティカーナ』のオペラ全曲録音の一番の特色は、大歌手時代の名だたるオペラ歌達が、とびっきりの美声とそのスタイリッシュな歌唱で歌い切った記録であり、指揮者は彼らの能力をどれだけ発揮させるかに重点を置いていて、現代のように指揮者が前面に出て、歌手を持ち駒のように扱う手法とは対照的だ。

少なくとも1980年代までは、声自体で芸ができるオペラ歌手が存在した。

指揮者ジュリーニは後年オペラから手を引いた理由に、歌手の質の劣化を忌憚なく語っている。

このディスクで異なる性質の2人の主役を歌っているジーリは、元来リリック・テナーだが、その表現力によってドラマティックな『道化師』のカニオも巧みに歌っている。

しかも『カヴァレリア・ルスティカーナ』の録音された1940年には既に50歳だったが、声の張りと瑞々しさ、コントロールされたパワフルな声量には驚くべきものがある。

それはサントゥッツァ役のソプラノ、リーナ・ブルーナ・ラーザも同様で、指揮者の存在が霞んでしまうほどの名唱と言える。

また興味深いのはシミオナートが端役のマンマ・ルチアを歌っていることで、当時30歳だった彼女がまだ主役を与えられていなかった。

彼女が主役サントゥッツァを歌うのは更に10年ほど後のことだ。

マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』は初演から熱狂的に受け入れられたが、ストーリー的には下世話な怨恨による犯罪物語で、後にトスカニーニをしてつまらない作品と言わしめた。

そうした欠点を救っていたのは、まさにその時代の大歌手達だったと言えるだろう。

作曲者マスカーニの指揮ぶりも、それほど上手いとは言えないが、ジーリなどの声の栄光によって救われた作品であることが、このCDを聴くことで理解できる筈だ。

『カヴァレリア・ルスティカーナ』の冒頭にマスカーニ自身の口上が録音されている。

彼はこの作品が作曲から50年を迎えたこと、HMVの全曲録音の勧めには、自分の音楽が生きたものとして残されることを望んで引き受けたとなどを述べている。

おりしもイタリアはファシズムの時代に突入していて、彼の口調はいくらかムッソリーニ調であることも面白い。

尚ディスクの数は2枚だが、ライナーノーツに全曲のリブレットが掲載されているので、カートン・ボックスに収納されている。

ニンバスのプリマ・ヴォーチェ・シリーズの殆どがSPレコードからの板起こし盤だが、再生機のグラモフォン(蓄音機)の音響だけでなく、再生された室内の残響も一緒に拾って録音するという方法で、かなり肉声に近いサウンドが得られている。

オーケストラはいくらか寝ぼけたような音だが、人の声域は当時の録音機器に適していたようで、他社のCD化された物より潤いがあって臨場感も得られている。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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