2021年06月07日

自在な表現力と絶妙な歌唱 フィッシャー=ディースカウのレーヴェ歌曲集


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ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウによって、ドイツ・リートはかつてないほどの芸術的高みとその価値を不動のものにした。

このレーヴェの作品集でも彼の全盛期の自由自在ともいえる表現力と伸びやかな歌声が冴え渡るアルバムで、バラード形式の歌曲においては、特にその強みを発揮する歌手であった。

レーヴェのバラードのドラマ性を、フィッシャー=ディースカウは雄弁で自在な表現法を駆使して描き出している。

時に、フィッシャー=ディースカウの余りに能弁な語り口が、いささか恣意的に聴こえることもあるほどである。

また伴奏のイェルク・デムスの気の利いた、時には粋で快活、また時には流麗なピアニズムが、これらの歌曲を一層生き生きとさせている。

確かに『海を行くオーディン』のようなドラマティックな作品では、ハンス・ホッターの迫力には適わないが、『婚礼の歌』での小回りの利いた早口でのたたみかけや『追いかける鐘』の軽快さ、そして『詩人トム』のメルヘン性などは替え難い芸術性に満ちている。

『エドアルド』の不気味で恐ろしい展開も見事だし、『魔王』の情景描写も卓越している。

後者はシューベルトと全く同じゲーテの詩による歌曲だが、異なった趣を持っていて興味深い。

カール・レーヴェ(1796-1869)はシューベルトとほぼ同時代に活躍した作曲家で、この2枚組のCDでは彼のバラード及び歌曲が37曲収録されていて、聴き応えのある一組である。

圧倒的なシューベルトの影に隠れてレーヴェの作品はドイツ・リートに親しみのない人にとってはマイナーかも知れないが、物語性を描写する巧みな技法とドイツ語の抑揚を生かしたリズミカルな曲想は、捨てがたい魅力を持っている。

かつてはシューベルトのライヴァルの座にあったレーヴェの歌曲(バラード)は、なぜか最近はリーダーアーベントのプログラムに見られる機会が少なくなってしまったが、優れた歌唱を得た時には、やはりその魅力は絶大なものがある。

録音は1969年、71年及び82年に行われ、当初2枚のLP盤でリリースされていたものがリマスタリングされてCDで復活したが、このセットも廃盤の憂き目にあって久しい。

尚ライナー・ノーツには総てのドイツ語の歌詞にフランス語と英語の対訳付き。

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classicalmusic at 05:53コメント(0)F=ディースカウ  

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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