2022年08月11日

👏ヨッフム&コンセルトヘボウ管弦楽団(1970-1986) ステレオ・ライヴによるブルックナー交響曲選集👉有名な論文も収録👍


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全体を通して端正な中にも豊かな共感をもった演奏であり、亡き指揮者ヨッフムの注目すべき遺産である。

周知のようにヨッフムは2度にわたってブルックナー交響曲全集を完成しており、生涯ブルックナーに打ち込み、20世紀のブルックナー演奏の正統派を担う存在だった。

しかしこの指揮者は、これはブルックナーに限らず全般にいえることだが、スタジオ録音となるとまとめへの指向がまさって、音楽の内的動態性が弱まる傾向があったことも確かだ。

CD6枚組集成として復刻されたコンセルトヘボウ管弦楽団とのこのライヴは、そうした弱点がないばかりか、音楽が内的な力に満ちて確固たる有機体をつくり、ひとつの完成されたブルックナー世界を見事につくり出している。

驚くほど円熟した音楽で、ヨッフムのブルックナー芸術の真髄が見事に表出されている。

静かな深みを湛えた音楽は強く心に染み込むもので、ヨッフムの若い時代からのブルックナーへの愛情、そして人生への観照、さらに神への祈りに通じる想念までが示されている。

作曲家独自の生成と高潮とが交替する作品の構成を、 いっそう純化し、明確化して、曲に見通しのよさを与え、 オケもまさにアンサンブルの極致ともいえる演奏を展開し、この作曲家と作品への豊かな共感を溢れんばかりに表現している。

ヨッフムはコンセルトヘボウと縁が深く、完全に気心が知れた者同士の息の合った演奏になっているのがよく伝わってきた。

このオーケストラ特有の美しい響きに満たされ展開される理想的なブルックナーで、味わいと迫力が見事に融合した、今や失われた美しいブルックナー演奏が甦っている。

強固ながらも威圧的にならない開放的な造形と音の広がり、「オルガン的な響き」のブルックナーはここに極まった感がある。

第5番は有名なフィリップス盤と比べ、ヨッフム翁最晩年の記録だけあってよりスケール感があり、ターラ・レーベルの中でも特に愛された名盤であった。

第6番はコンセルトヘボウ管も自薦の名演で、第2楽章など無類の味がある。

第7番は1970年の録音で晩年の東京ライヴとは別もの、力強さと雄渾さが素晴らしい。

第4番は語り口のうまさにぐいぐいと引き込まれる。

第8番も第3楽章における柔らかで透明な明るさを湛えた美しさはヨッフムのブルックナーの到達点にも思えるし、フィナーレの圧倒的なコーダが忘れがたい見事な大演奏。

どの曲も今回新たにリマスタリングを施し、放送録音ということを考えても優秀な音質であり、愛蔵盤として永くお聴き頂けるセットとなろう。

解説書も充実、ヨッフム翁の有名な論文「ブルックナーの交響曲の解釈のために」を新訳(河原融氏訳)で収録している。

この論文はヨッフムがブルックナーについてわかりやすく語ったもので、曲の頂点はどこか?といった議論から第5番の金管増強の件に関する考察など、ブルックナーを聴く上で興味深く参考になる話題が満載である。

これまで不十分な訳でしか読めなかった文章でもあり、細かな注釈まで完備したこの新訳は大変貴重なものと言える。

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classicalmusic at 21:45コメント(2)ブルックナー | ヨッフム 

コメント一覧

1. Posted by 小島晶二   2022年08月11日 21:54
単売された5番以外は未聴なので,評価は差し控えていただきますが,大いに興味をそそられる選集です。多くの曲は単売されているので,その辺も付記していただければ有り難かった(3,9番は含まれていませんね?)。多分ターラはフルトヴェングラーのベートーヴェン全集の様なライヴ収録をヨッフムのブルックナーでしたかったのでしょうね。でもブルックナーの量はベートーヴェンのそれを遥かに上回りますから16年も要したと推察されます。私が最も気になる84年の8番は前半部は本調子とは言えないが,第3楽章からグッと盛り上がってくると評価されています。でもそれはヨッフムだけではないですね。
2. Posted by 和田   2022年08月11日 22:33
このヨッフム/コンセルトヘボウのブルックナーシリーズは第4〜8番までで、残念ながら第3番、第9番は入っていません。先程アマゾンで調べてみたら、この記事で紹介されているセットが最安値で、単売されているものは既に在庫切れしているか高値で取引されています。今し方アマゾンでフルトヴェングラーのベートーヴェンのターラ盤を調べてみたら、全集はないものの、かなり良い演奏・録音が選ばれていますね。
今度のブルックナー三昧は自分でけしかけておきながら、かなりくたびれ果ててしまいました。しばらく大好きなブリテンのオペラを愉しみたいと思います。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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