2021年07月19日
オペラ黄金時代のイタリア、美声の饗宴、ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』
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この録音を最初に聴いたのは伊リコルディ・レーベルのLPだったが、音質が意外に良いステレオ録音でキャスティングも当時のスター歌手を集めた、豪華な美声の饗宴を堪能したものだ。
1950年代後半に入るとレコーディングの技術水準も日進月歩で、オペラの劇場的な臨場感を感知させる全曲盤も相次いだ。
この『ルチア』は1959年の録音で、確かにステレオ黎明期特有の多少あざとい分離状態があるにせよ、鑑賞には全く支障がない。
なによりも歌手陣が充実していて、全盛期のレナータ・スコット、ジュゼッペ・ディ・ステファノ、エットレ・バスティアニーニが繰り広げるドラマは、現在の神経戦のような『ルチア』とは異なった、本来の声による演技を知っていた歌手だけができる白熱した舞台を髣髴とさせる。
『ルチア』と言えばマリア・カラスの十八番だったレバートリーで、彼女は2回のセッション録音をEMIに残したが、1回目はモノラル録音で演奏はディ・ステファノ、ゴッビと共に素晴らしいが音質がやや貧弱だ。
2回目はステレオ盤だが、名歌手タリアヴィーニは既に峠を過ぎ、新鋭だったカップッチッリにはまだ悪役になり切れないところがある。
尚テノールがアルフレード・クラウスに替わる『リゴレット』もお薦めしたい。
私は残念ながらバスティアニーニを実際の舞台で聴くことができなかった。
彼はあまりにも早く亡くなってしまった。
しかし彼がものしたレバートリーはどれも成熟していてバリトン歌手の貫録を持っていた。
スコットとディ・ステファノは幸い何回かライヴを聴くことができたが、スコットのコロラトゥーラは非の打ちどころがなかった。
カラスのような凄みのある声質ではなく、あくまでもイタリア的な明るい美声で歌い切る『ルチア』もまた感動的だ。
初夜の晩に夫を刺殺し、宴会場に現れる狂乱の場はフルートとのデュエットだが、綱渡り的なコロラトゥーラ・ソプラノのテクニックがちりばめられていて恐ろしいばかりのクライマックスを創り上げている。
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